HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報529号(2010年5月 6日)

教養学部報

第529号 外部公開

〈本郷各学部案内〉 教育学部 共に育み 共に育まれる
~共育の姿勢を大切に~

武藤芳照

H-6-3-01.jpg「教育」とは、何か
教育(英語のエデュケーション)に当たるラテン語の語源は、「引き出す」(エデューケレ)と「養い育てる」(エデュカーレ)とされています。つまり、一 人ひとりが持っている資質や能力、感性、才能を引き出し、それらを伸ばし発達させ、健やかで心豊かな実り多い人生を送ることができるように育てていく営み が、教育なのです。
その教育がうまくなされるために大切なのは、多様な個性と背景を有する数多くの人々と共に学び、共に遊び、共に歩むことができるような機会と場と環境が 与えられることです。生物界が多様性を保つことによって、持続的発展がなされるように、人間も多様性の中で初めて、より大きくより高くより深く教えられ育 てられていくはずだからです。
二〇〇九(平成二十一)年四月に教育学研究科の附属施設として発足したバリアフリー教育開発研究センターには、そうした理念を中核にして、心のバリアフ リー、意識のバリアフリーを普及し、多様さの中で共に育み、共に育まれるという教育を実現しようという希望が込められているのです。

「教育学部」とはどんなところか
東京大学教育学部は、一九四九(昭和二十四)年五月に、東京大学が新制大学に移行する時に設置され、大学院重点化を経て、昨年二〇〇九(平成二十一)年 五月で丁度六〇年の大きな節目を迎えました。十一月には、濱田純一総長をはじめ、学内外の関係者をお招きし、元教職員・卒業生らも集って盛大な記念事業が 行われました。本学部・研究科の使命は、教育についての専門的な研究と教育、教育に関する専門職の育成、東京大学における中等教育教職養成の中核にありま す。したがって、その教育理念は、第一に教えること育てることの理(ことわり)を知ること。第二に教育、発達、学習の大切さを知ること。第三に教えるこ と、育てることの面白さを知ることに集約されるでしょう。

H-6-3-02.jpg「教育学部」だから学校の教師になるための学部、つまり教員養成系学部と考えられやすいのですが、それだけではないのです。むしろ、それ以外のもっと幅 広く文理の枠にとらわれない自由さと視野の広さをもって、人間発達を中核にして、学校、社会、文化、スポーツ、福祉、行政、国際、情報等様々な視点から、 教育のことを思索し、分析する学部なのです。
人間発達は、知性、身体、感性の発達を基礎としています。それぞれを発達させつつ、一人ひとりの人間形成にいかに役立てていくかが、教育学部の主要な教 育・研究・実践課題です。言い換えれば、からだを育み、心を育み、人を育む。そのための総合的・学際的・実践的科学が教育学なのです。

H-6-3-03.jpg明朗闊達、アットホームでチームワークを大切に
教育学部は全学の中でも規模の小さな部局ですが、その分、学生同士、教職員と学生との関係が密接で、家族的な雰囲気の中で、各講座・研究室、センター等 がチームワークを大切にしています。人文科学、社会科学、自然科学の基礎的素養と応用的実践能力を身につけ、卒業生は、国内外の幅広く多彩な分野・領域で 活躍しています。
将来、どのような職業・専門を選ぼうとも、教育との関わりのないものはありません。共に育み共に育まれる「共育」の基本姿勢を保ちつつ、共に歩みましょう。ようこそ教育学部へ。

(教育学部長)

第529号一覧へ戻る  教養学部報TOPへ戻る

無断での転載、転用、複写を禁じます。

総合情報