HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報531号(2010年7月 7日)

教養学部報

第531号 外部公開

テーマ講義「グローバル時代をどう生きるか――プロフェッショナルが語る新しい可能性」

木村秀雄

濵田純一総長の方針の一つに、「タフな東大生を育てる」ことがあります。昨年十二月一日には、「総長講演会『タフな東大生』とは」が、本郷キャンパス小 柴ホールで開催されました。その講演で総長は、「タフさは多様さの中で鍛えられ、また、社会的なコミュニケーションの場におけるたくましさも大切である」 と語りました。

B-4-1-02.jpgこの方針を実現するために、東京大学は今後、学部生が国際的な体験を積むことができるようにさまざまな仕組みを用意していきたいと考えています。そこで 教養学部では、新入生がグローバルなキャリアの可能性について考え、自らの将来を設計する参考になるように、テーマ講義「グローバル時代をどう生きるか: プロフェッショナルが語る新たな可能性」を開講しました。国際的な場面で活躍されてきた各界の方々をお招きし、大学時の勉強と生活、現在の仕事に至った経 緯、世界や日本をどう見るか、などをテーマに、自由に語っていただいています。東京大学のホームページには「タフな東大生」のページが設けられており、そ の中でこのテーマ講義も紹介されています。

授業のスケジュールは次(表)のとおりです。

 第1回4月9日 土井香苗(国際人権監視団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ東京ディレクター)
 第2回4月16日 松本大(マネックス証券株式会社 代表取締役社長CEO)
 第3回4月23日 大島賢三(国際協力機構JICA副理事長)
 第4回5月 7日 松浦晃一郎(国際連合教育科学文化機関ユネスコ前事務局長)
 第5回5月14日 小寺清(世界銀行-国際通貨基金IMF合同開発委員会前事務局長)
 第6回5月21日 石井リーサ明理(照明デザイナー)
 第7回5月28日 村山斉(東京大学数物連携宇宙研究機構長、カリフォルニア大学バークレイ校教授)
 第8回6月4日 明石康(元国連事務次長、カンボジア・旧ユーゴ担当国連事務総長特別代表)
 第9回6月11日 藤森義明(日本GE株式会社代表取締役社長兼CEO・米GE上席副社長)
 第10回6月18日 水越豊(ボストンコンサルティンググループ日本代表)
 第11回6月25日 黒川清(政策研究大学院大学教授)
 第12回7月2日 星岳雄(カリフォルニア大学サンディエゴ校教授)
 第13回7月9日 笠原健治(株式会社ミクシィ代表取締役社長)

B-4-1-01.jpg
第6回石井リーサ明理氏が照明を担当した「ポンピドーセンター・メッツ」

このテーマ講義では、一方通行の授業にならないように心がけています。講義は四十五分程度にとどめ、三十分以上の質疑応答時間を設けています。毎回多く の質問があり、授業時間をオーバーすることも珍しくありません。最近の大学生は質問しないと言われたりしていますが、この講義ではそのようなことはなく、 とても頼もしく思っています。

また、学生グループに協力を求め、受講生が積極的に講義に参加する形を模索しました。彼らの提案によって、学生による授業レポートをホームページにアップすること、受講生同士が講義についてtwitterで議論し合う場を設けること、を実施しています。

このテーマ講義をその他の行事と合同で行うこともありました。五月七日に行われた松浦晃一郎・国際連合教育科学文化機関ユネスコ前事務局長の講義は、教 養学部主催の新入生歓迎講演会としても行われました。授業の受講者以外にも広く松浦さんの講演を聞いてもらいたいと考えたためです。また、五月二十八日の 村山斉・東京大学数物連携機構長兼カリフォルニア大学バークレイ校教授の講義は、特別講演として後期課程や大学院にも広報しました。

講師のお話からは、日本に閉じこもらずに広い世界で経験を積むことが大事なこと、広い世界で働くことができる人が日本の将来にとって欠かせないこと、自分の興味や情熱を大事に、自由に世界を選ぶことが必要であることが、共通して受け取ることができます。

一度、タフな東大生のページを見てください。どのような講義が行われたかを知ることができます。

(超域文化科学専攻/スペイン語)

第531号一覧へ戻る  教養学部報TOPへ戻る

無断での転載、転用、複写を禁じます。

総合情報