HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報538号(2011年5月11日)

教養学部報

第538号 外部公開

〈時に沿って〉自己紹介に代えて

星野太佑

2011年の4月に総合文化研究科の身体運動科学研究室の助教として採用されました、星野太佑(ほしのだいすけ)と言います。2011年3月に総合文化 研究科で博士学位を取得し、その後すぐに助教になるということで、他の先生方に比べれば、業績も多くありません。これからも知識を学ぶ意欲を大切にしなが ら、東京大学の助教としての自覚と責任を持って、教育と研究に全力で取り組んでいきたいと考えています。

私自身を紹介するために、少し筋違いかもしれませんが、まず私の両親の人となりを紹介し、その後、私のこれまでの道のりを紹介したいと思います。私の父 は福岡生まれの福岡育ち、根っからの博多っこです。父が用事で上京してきたときには、人に聞こえるほど大きな声で博多弁をしゃべるので、少し恥ずかしい時 もあります。また、父はかなりの倹約家です。贅沢はせず、旅行もいかに格安で行くかに精を出します。その生活スタイルは、なかなかまねできません。父は毎 朝5時に起床して仕事に行きます。他の人が休みをとる大晦日の夜やお正月には、自宅にいたことがありません。人がやりたがらない仕事を率先して行うことが できる人です。その点に関しては、とても尊敬しています。

母といえば元気がよく、明るい性格をしています。一方で、相手が誰であろうと思ったことをズバズバ言っていきます。誰に対しても物怖じしないその度胸に は、いつも感心させられます。例えば、オーストリアのウイーンに旅行に行ったときには、慣れない英語で、ガイドをしてくれた現地の人にどんどん質問してい ました。さらに訪れたカフェではピアノを弾いていた現地のピアニストに、一緒にいた祖母が聴きたがっている曲を弾いて欲しいと直接交渉しに行きました。実 際にリクエスト通りの曲が演奏されたときには、なぜかとても感動しました。母のように自分の思いを発信し、周りを巻き込んでいく力は、これからの僕に必要 な力だろうと感じています。

最後に私のこれまでの道のりですが、もう書ける文字数がなくなってしまいました。読んで頂きありがとうございました。ここまで私が書いたように、読んで 下さったみなさんにも、それぞれ大切なご家族がいらっしゃると思います。ぜひ思い返してください。そして、大学生活で寂しいとき、何かうまくいかないと き、ぜひご家族に電話してみてください。元気であれば、元気な声を聞かせてあげてください。気持ちが落ち着き、ご家族もきっと喜ぶと思います。そして、そ れこそが私が大学時代できなかったことであり、唯一心残りに思っていることです。

この原稿の執筆中に、東日本大震災が起きました。ご家族を亡くした方々もいらっしゃる中で、このような文章を残すことにためらいもありました。しかし、家族や身近な人たちを大切に思う気持ちが、被災地の復興の力になると信じて、この文章を残させて頂きます。

(生命環境科学系/スポーツ・身体運動)

第538号一覧へ戻る  教養学部報TOPへ戻る

無断での転載、転用、複写を禁じます。

総合情報