HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報538号(2011年5月11日)

教養学部報

第538号 外部公開

〈理数系辞典案内〉化学

村田 滋

①化学辞典 (東京化学同人:1994年:1744頁:9,600円)
化学および関連する領域の、基礎から最先端に至る用語と物質を約2万項目記述した辞典。生化学分野が少し弱い。本書の元になった 化学大辞典(東京化学 同人:1989年:2772頁:42,000円) は3万項目を取り上げており、国内最大級の化学辞典。共立出版からは全10巻の化学大辞典が出ており、 こちらは7万項目を含むが、45年以上前の刊行であり、最近の成果まで調べることはできない。

②標準化学用語辞典 (日本化学会編:丸善:第2版:2005年:900頁:21,000円)
第1版は文部省学術用語集化学編に掲載されている用語を中心に、短い解説を掲載していたが、第2版では新規用語2千語を加え、1万語になった。基本的な化学用語はほぼ網羅されている。

③化学便覧 基礎編 (日本化学会編:丸善:改訂5版:2004年:1892頁:56,700円)
化学に関する最新の基礎知識、データを整理した便覧。ただの数値の羅列と思わずに、これらのデータを自分なりに整理し、グラフ化などすると、いろいろな 発見ができる。教科書などに載っている整理された表、データから一歩踏み出して、自分で調べ、整理する態度を身につけて欲しい。本書の姉妹編である 化学 便覧 応用化学編(丸善:2003年:1709頁:57,750円) は化学工業プロセスと材料についての最新のデータをまとめている。

④元素大百科事典 (P.Enhang著:渡辺正監訳:朝倉書店:2007年:712頁:27,300円)

⑤元素の百科事典 (J.Emsley著:山崎昶訳:丸善:2003年:706頁:15,750円)
④、⑤はいずれも、現在知られている全元素について一つひとつを解説し、存在状態、性質、歴史、用途、化学的性質、エピソードなどをまとめた辞典。元素の多様性を楽しむことができる。

⑥元素111の新知識 第2版 (桜井弘編:講談社ブルーバックス:2009年:461頁:1,260円)
④、⑤に比べるとずっとコンパクトであるが、元素の最新情報を読み物風にまとめてあり、元素の用途、生命とのかかわりについて知ることができる。

⑦完全図解周期表 (Newton別冊:2007年:160頁:1,995円)
本書は辞書というより図鑑であるが、多数の美しい図とともに、周期表の成り立ち、各元素の性質と用途などが示されている。
学習指導要領により、高等学校で学ぶことができる元素の数は非常に制限されているが、是非、このような辞典、図鑑を通して多くの元素の個性に馴染んでほしい。

(相関基礎科学系/化学)

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