HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報539号(2011年6月 8日)

教養学部報

第539号 外部公開

〔本郷各学部案内〕教育学部 教育学部への招待

市川伸一

539-H-3-3_01.jpg「教育」について学び、探究するところ
いつの時代にも、また、社会のどのような立場にある人にとっても、教育というのは大切なテーマです。教育を受ける人、教育をする人、そして、社会の中で教育を組織していく人がいて、人類社会はここまで文化・文明を発展させてきました。
教育という営みは、家庭、学校、地域、職場など、いたるところで見られます。これからの日本社会、さらに世界全体がどのようになっていくかは、ひとえに「教育」のあり方にかかっているといっても過言ではありません。
しかし、教育そのものについての科学的・体系的・総合的研究は、まだまだこれからの分野です。教育に興味をもち、深く学び、探究してみようという若い人たちに、ぜひ教育学部に来ていただきたいと考えています。

539-H-3-3_02.jpgさまざまなアプローチによる組織構成
教育についての研究は、極めて学際的に行なわれているために、本学部でも、多様なアプローチをとる教員がいます。私自身、教養学部時代は、理科一類です ごし、進学振分けで文学部の心理学専修課程に進学し、その後も認知心理学の基礎研究をしていましたが、しだいに教育研究に関心をもつようになり、個別学習 相談や指導法開発の研究をするようになりました。教育学部には、いろいろな分野、経歴の教員がいることが大きな特徴といえるでしょう。
学生が所属するのは、三つの「専修」という区分の合計五つの「コース」になります。「基礎教育学専修」は、教育についての哲学や歴史を人文科学的アプ ローチから学びます。「教育社会科学専修」には、「比較教育社会学」、「教育実践・政策学」という二つのコースがあり、社会的な視点から教育のあり方や制 度について学びます。「心身発達科学専修」は、「教育心理学コース」と「身体教育学コース」から成り、発達や学習のしくみと、教育による支援について学ぶ ことになります。
教職免許をとることもできますが、教員養成系大学の教育学部とは異なり、免許取得のためのカリキュラム編成になっているわけではありません。教育につい ての探究のしかたを体験的に理解し、社会のさまざまな分野でそのセンスとスキルを生かして活躍してもらうことをめざしています。大学院に進学し、研究者の 道を志す人も多くいますし、官公庁、マスコミ、情報産業、一般企業の人事・教育部門、福祉関係施設など、就職先は多く開かれています。

アットホームで風通しのよい学部
東京大学の中で、教育学部は規模の小さな部局ですが、その分、少人数のゼミが多くあったり、コース内でのコンパや旅行などを盛んに行なったりしていま す。学部全体でのイベントもあり、小さな学部ならではのアットホームな雰囲気が特徴です。コースを越えて、教員や他の学生との関わりもできるという風通し のよさがあります。
最後に大学院についても触れておきましょう。大学院教育学研究科は、専門分野に応じて、さらに多様なコースが設置されています。教育心理学コースは発 達・学習研究を行う「教育心理学コース」と、心理臨床・カウンセリングなどを専門とする「臨床心理学コース」に分かれます。また、「生涯学習基盤経営」 「大学経営・政策」「教職開発」「教育内容開発」「学校開発政策」といった新たなコースがあります。教員スタッフも充実し、発展しつつある教育学部・大学 院教育学研究科にぜひおいでください。

(教育学部長)

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