HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報565号(2014年5月14日)

教養学部報

第565号 外部公開

〈理数系辞典案内〉物理学

国場敦夫

①岩波理化学辞典 第5版(岩波書店:1998年:1872頁:11550円)初版1935年、理系学生、大学院生、研究者にとっての定番。化学、物理を中心として、数学、工学にも関連した12000余の術語、人名を掲載。化合物の特性について詳しい。現象、法則、概念、理論、測定原理についての説明だけでなく、歴史や最近の発展についても触れられている。「調べる」ことでレポート作成時や先に進んだ分野を学習する際に役立ち、「読む」ことで興味ある分野を概観できる。

②物理学辞典 三訂版(培風館:2005年:2688頁:45150円)物理に関する1万3500の術語、人名を掲載し、重要度によって説明字数にメリハリがついている(詳しいもので3000字程度)のが特徴。研究者が論文を執筆する際に役に立つことが多いが、大学教養学部生にも理解できるレベルを目指した記述になっている。一人800字程度を費やしている人名解説は興味深い。各項目に英、独、仏、露訳がつけられているので和欧辞典としても活用できる。

③現代数理科学事典 第2版(丸善:46200円) 初版(1991年、大阪書籍)。数学は科学全般に応用をもたらし、逆に科学の多くの分野から新しい数学的アイデアが生まれる。このような循環、再生が生み出す躍動こそ数理科学という言葉に込められた可能性といえよう。本書はその息吹を伝えるべく編集された「読む事典」である。分野は物理、生命、計算機科学、経済、数理統計、オペレーションズリサーチ、制御理論、情報、数値計算、認知と学習、数理の基礎と多岐にわたり、類のない構成となっている。物理を例にとると、大学初年で学ぶ力学から最先端の超弦理論まで各項目が皆10頁程の見事な解説にまとめられている。各分野のはじめに手短な概要がついていて全般が把握できるのが有難い。随所にちりばめられた「コラム」も楽しい。

(相関基礎科学系/物理)

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