HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報581号(2016年2月 3日)

教養学部報

第581号 外部公開

グローバリゼーションオフィス 短期派遣留学生の学び

君 康道・大澤麻里子

グローバリゼーションオフィスは、21 KOMCEE Westの地下1階、レクチャーホールに隣接したガラス張りのオフィスです。留学や海外研修を考える皆さんにとっては、アドバイスを受けたり、派遣留学生の報告書や、TOEFL、IELTSなどのテスト対策の資料を閲覧したりすることができ、みなさんが留学への第一歩を踏み出すための様々なサポートをしています。また、留学に関するイベントなども企画しており、その情報は「グローバル駒場」ウェブサイト(http://www.globalkomaba.c.u-tokyo.ac.jp/)などで随時お知らせしています。

教養学部では、1995年から20年余に渡って短期交換留学プログラム(AIKOM)を運営してきた伝統があり、これまで教養学部から447名、海外の協定校から501名が参加しています。今後AIKOMは全学交換留学プログラム(USTEP)へと順次移行していく予定ですが、教養学部ならではのきめ細やかなサポート体制は継承されます。その一環として、グローバリゼーションオフィスでは、留学前、留学中、留学後を一連の学びのサイクルと考えて、AIKOMやUSTEPでの派遣留学生に対し、様々な研修やサポートを実施しています。そのうち「留学前発表会」と「留学成果発表会」については、学内の学生及び教職員にも聞いてもらえるように公開制となっています。

【留学前発表会】

留学出発前、派遣留学生たちには留学に向けて「アカデミックな目標」と「人的交流の目標」の二つを具体的に考えてもらいます。そして出発前に開かれる「留学前発表会」において、これらの目標達成に向けこれまでどのような準備をしたか、留学先でどのようなことを実践するか、更に留学経験を後の進路にどのように繋げたいのか、などを発表します。この留学前発表会は出発時期に合わせて七月及び一二月の年二回開催しています。

【留学成果発表会】

帰国した派遣留学生たちには留学での学びを総括し、その成果を「留学成果発表会」にて発表してもらいます。年に数回開催しています。ここでは留学前に立てた目標に対して、その達成のために具体的にどのようなことを実践し、どの程度達成できたのか、更にこれから留学を考えている学生たちへのアドバイス、などを発表してもらいます。毎回各自工夫を凝らし、留学中の生活ぶりがわかる写真なども活用して、どの学生も大変興味深い発表をしてくれています。これまでの発表で、特徴的、印象的だった点をいくつかご紹介したいと思います。

〈一カ月の壁〉
多くの学生が直面するのは、最初の一カ月の壁です。友達もできず、新しい環境や生活に慣れるのが精一杯の上に、授業の膨大な課題に苦しめられ、とにかく辛かったという感想を多く聞きます。でもその時期を乗り越えると、一気に楽になるそうです。
〈気候への適応〉
意外に多いのが気候に関することです。特に北欧や北米に留学した学生達は、長く、寒く、天気の悪い冬に体調を崩し、気分が沈みがちになることが多いようです。

〈友人の作り方〉
授業でのつながりからは深い友人関係に発展することはなかなか難しく、やはり多くの場合はフラットメートや語学パートナー、そしてクラブ活動などの授業時間以外での交流や活動を通じて多くの友人を得ているようです。アカペラサークルやダンスクラブに加入したり、更には自身でルービックキューブサークルを立ち上げた学生や、バレーボールクラブで海外遠征試合なども経験した学生もおり、そこでの経験と育まれた絆は何物にも代えがたいものとなったようです。

〈留学で得られるもの〉
留学で得られるものは語学力やアカデミックな知識だけではありません。価値観の違う人々と暮らすと当然揉め事もありますが、それを乗り越えることによって、相手の意見を尊重しつつ、自分の意見をはっきり言うこと、様々な困難に対処するうちに、柔軟性や、折れない力、バランス感覚、寛容さ、決断力も高まるようです。
また、今まで当たり前のこととして享受していた、日本の気候、安全性、便利さ、効率のよさ、時間の正確さなどに気付き、日本の良さを改めて再発見したというコメントも多くの学生から聞きました。
更には、東大で学べない事、例えばマオリのダンスや文化に関する授業や、アートの授業、インターンシップやボランティアを経験してくる学生もいます。
留学成果発表会は、こうした貴重な話を直接聞くことのできる絶好の機会ですので、ぜひ足を運んでみて下さい。

【ミニ留学相談会】

帰国した学生たちには、グローバリゼーションオフィスが開催する「ミニ留学相談会」でも積極的に活躍してもらっています。彼らが留学で得た経験と知識を基に、留学準備や留学後の進路や就職活動のこと、奨学金や生活、治安の事、漠然とした「留学したい」という思いからより具体的な相談まで、なんでも相談に乗ってくれます。このミニ留学相談会には東京大学に留学中の学生たちも協力をしてくれています。留学を考えている学生、留学を経験した学生、そして東京大学に留学している学生が繋がるきっかけにもなればと考えています。

* * *

みなさんには、学生時代に少なくとも一度は居心地のよい生活空間を離れ、行動範囲や交流範囲を大きく広げ、多様な価値観を知る経験をして欲しいと思います。グローバリゼーションオフィスを大いに活用し、先輩たちのように新たな第一歩を踏み出してみませんか。

(国際交流)
 

第581号一覧へ戻る  教養学部報TOPへ戻る

無断での転載、転用、複写を禁じます。

総合情報