HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報582号(2016年4月 1日)

教養学部報

第582号 外部公開

コマメシ ~駒場の飲食店案内~

齋藤希史

毎年恒例のこのコーナー、前回が最後の担当となるはずだったのですが、ひょんなことでまたお鉢が回ってきました。あいかわらずの中身で恐縮ですが、ほんの少し補訂してお届けします。

駒場で学び働く人のごはん、コマメシについて語るとなれば、まずは生協食堂(一階カフェテリア若葉・二階ダイニング銀杏)①から。新学期はひたすら混むのが難点だけれども、時間を外せば快適な空間。ダンスに興じる学生や走り回る幼な子を横目に、さくっと腹ごしらえ。メニューも豊富。読書とコーヒーなら隣のイタリアントマトカフェJr.②。パスタやホットドックなどの軽食もあるし、ケーキもある。大きな窓から見える矢内原公園の緑も美しい。

とはいえこれらはやはり学食、はるばる駒場を訪れたゲストをお連れしてとなれば、少しは見栄を張りたいのが人情。そこでルヴェソンヴェール&橄欖③。ダンスホールにも使われていた旧一高同窓会館洋館を改築した建物は雰囲気もよく、一階のルヴェソンヴェールは、お昼時は早めに行かないと席がないほどの盛況ぶり、奥さま方のお喋りに圧倒されながらも、ちょっとした日替わりランチが八〇〇円で楽しめるのは貴重。二階はサービスも料理も正統的、いつかのために憶えておくとよいかも。なお、駒場第二キャンパス(駒Ⅱ)にあるカポ・ペリカーノ④に散歩がてら出向くのも一興。

充実した定食こそ午後の活力という向きには、キャンパス東側の梅林門から踏切をわたって駒場東大前商店街を右に進めば菱田屋⑤がある。昼どきは行列必至、それならばキッチン南海⑥でカツカレー、ケーキのリスブラン⑦でパスタランチなど、好みに応じてバックアップもある。さらに東に向きを変え、郵便局を左手に過ぎて行けばインド・ネパール料理ムスカン⑧。カレーはやっぱりナンでなければという人に。ライスもあり。郵便局の通りから一本隔てた南にひっそりたたずむ中華井上⑨は、昭和の雰囲気が懐かしく、こんなところにと意表をつくタイ料理研究所⑩は、本場の味が身近に。

通称駒下のこの界隈は、昼も夜も駒場を支えていて、英香⑪やさわやか⑫はゼミ後の親睦などに(英香は昼定食も)、みしま⑬のたこ焼やイル・ビニエ⑭のシュークリームをおやつにしたりなど。忘れていた振込のために郵便局に行くだけではもったいない。もちろん郵便局向いの角屋⑮自家製カレーパンも忘れてはいけない。

駒下から駅の西口へと戻っていけば、カレーのLucy⑯あり、つけ麺の駒鉄⑰あり、老若男女集うマクドナルド⑱あり。

坂下門横の満留賀⑲は、そばの盛りのよさでは誰もが知るところ、一度は大盛りを頼むべしとの声も(特盛りもあるらしい)。麺類だけでなく丼物にもファンがいる。ちなみに店名の読みは「まるか」、由来をたどれば明治三三年に加藤豊蔵氏が芝で創業した㋕三河屋(このときはうどん屋)にまで遡る。のれん分けを重ねて、現在、満留賀を名乗る店は二〇〇軒を越すという。

カフェごはんをというなら、満留賀から西に坂を登ったBleu Table㉑。パスタ、ハンバーガー、ジャンバラヤなど。ちょっと手前のDora⑳は、人形たちが迎えてくれるオールドスタイルの喫茶店、もう少し先のカフェコロラド㉒はドトールチェーンの喫茶店。こういうお店のランチをとるのが好きな教員はけっこう多い。さらに進んで駒場小学校横のLe Ressort㉓に立ち寄れば、カロリー度外視美味追求のタルティーヌがあなたを誘惑する。フジカフェ㉔はハワイの風。Le Ressortのパンを持ち込める。うなぎの宮川㉕は出前でもお世話になる。

駒場キャンパスは北側が穴場。野球場土手の桜の見事さは言うに及ばす、散策ついでに野球場門(北門)を出て駒裏に出れば、そこはコマメシのフロンティア。フレッシュネス・バーガー㉖は同チェーンの一号店、アボカドバーガーやホットドッグも。少し東海大学の方に入ったところのビストロ、シャンブル・アヴェク・ヴュ㉗は、ルヴェソンヴェールより心もち高め、そのぶん落ち着いた雰囲気。さらにまっすぐ進むと右手に大茂里㉘、昔懐かしい中華と洋食の食堂。

駒場側に少し戻って角を東に曲がり、郵便局も越えてまっすぐ進んで左手に白い暖簾が見えたなら、ごはんをしっかり食べたい人のためのむぎ㉙。ここまで来ればキャンパスの裏門(体育館横)も近く、昼夜ともに使い勝手のよい蕎麦の絆㉚、オリジナルが定番の山手らーめん㉛も指呼の間。裏門横に最近できたらーめん一信㉜は鶏路線。

慌ただしさの中でついついコンビニでお昼を調達してしまいがちな毎日、お店で食べるランチには、味だけではない何かがある。知らない街を歩いてみたいどこか遠くへ行きたいと耳にこだまするあなた(私?)には、西門を出て少し歩いた駒場公園にある日本近代文学館内のカフェBUNDAN㉝。本好きなら居心地抜群、もうキャンパスには戻れないかも。

こうしてひとめぐりするだけでも、駒場の食は意外に豊か。書き漏らしたお店もまだまだあります。教養学部ウェブサイトで公開されているバックナンバーもぜひ参考にしていただきたい。よきコマメシを。

(超域文化科学専攻/学際日本/文学部)

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