HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報588号(2016年12月 6日)

教養学部報

第588号 外部公開

PEAK第1期生卒業

清水 剛(国際社会科学/経済・統計)
前島志保(超域文化科学/PEAK前期)
前田 章(国際環境学教育機構/PEAK前期)

9月15日、PEAK(Programs in English at Komaba)の第一期生の卒業式が駒場キャンパスにて挙行されました。PEAK設立から四年が経ち、ようやくはじめての卒業生を送り出すことができました。改めて関係の皆様に深く御礼申し上げます。

PEAKの後期課程は教養学科の国際日本研究コース(Japan in East Asia, JEA)、学際科学科の国際環境学コース(Environ­mental Sciences, ES)の二つに分かれていますが、初めての卒業生はJEAコース8名、ESコース7名となりました。

15名の卒業生はまず本郷キャンパスでの秋季卒業式に出た後、駒場キャンパスに戻り、両コース合同での学位記授与式に参列しました。学位記授与式では、まず太田邦史・副学部長による、東京大学の歴史からPEAKの意義までを説き起こした式辞の後、両コースそれぞれの学生にコース主任から学位記が渡されました。また、ESコースの学業優秀者の表彰があり(JEAコースは7月に終えていました)、その後、JEAコース、ESコースそれぞれの学生の代表からのスピーチがあり、閉式となりました。

当初、関係者は少人数の式になることを予想していましたが、実際には卒業生の家族の方々に多くおいで頂き、またPEAKコースで教えていただいた先生方、その他の関係の教職員等多くの方々に御参列頂き、非常に華やかな式になりました。卒業セレモニーの後にはお茶とお菓子を用意して茶話会を開催させていただきましたが、そこでも終始和やかな雰囲気でした。
なお、卒業式に先立ち、7月26日に卒業生とのさよならパーティーをやはり駒場キャンパスにおいて開催し、その場でJEAの学業優秀者の表彰が行われました。この7月のパーティーと9月の卒業セレモニーを以て、ようやくPEAKも一つの区切りを付けることになりました。

この一期生たちは、まさにPEAKが作られていく過程とともに歩んできました。PEAKも最初は手探りで進んでいたこともあり、制度等もまだ固まっておらず。学生たちにとってもわからないことだらけだったと思います。学生たちは「われわれはモルモットだ」と冗談混じりに文句を言っていましたが、プログラムを作っている側からすれば、何か問題が起これば彼らの意見を聞きながら作っていったこともあり、我々にとっては彼らは単に学生というよりも、一緒にプログラムを作ってきた友人、という認識でもあります。

4年間、振り返ってみると実に様々なことがありました。最初に彼らを学生として迎えた時にはまだ東京大学の関係者も右往左往している状況で、学生たちにも少なからず不満があったようです。彼らが3年生に上がることになると状況はだいぶ落ち着いてきましたが、それでもまだまだ問題はありました。教務関係に限っても、成績評価の基準、卒業要件の充足の仕方、卒業論文指導の進め方、海外留学の取り扱いなど、折々に立ち現れてきた「難問」の数々が頭に浮かびます。教務関係だけでなく、卒業時期が欧米の大学にずれていることから対応するためにレターを書いてくれとか、GPAをどうやって計算したらいいのかとか、様々な質問がやってきたことも思い出します。毎学期(お酒のはいらない)パーティーをやっていましたが、その際に「私は卒業できるだろうか」と心配する学生に「これとこれを履修すれば大丈夫」などと説明したりもしました。関係の先生方のご尽力と、そして何より学生たち自身の努力で、いろんな問題を乗り越えながら卒業にまで至ったことを嬉しく思っていますし、(正直に言えば)ほっとしているところです。

今後卒業生たちはそれぞれの道を歩んでいくことになります。一番多いのは海外もしくは日本の大学院への進学で、15人中実に9名(JEA5名、ES4名)の学生が既に進学しており、さらにもう1名が母国の専門職大学院に挑戦しています。他には、日本で就職した学生が2名(ES2名)、母国で就職もしくは就職活動中の学生が3名(JEA2名、ES1名)となっています。卒業生たちは、どのような道に進んでも東京大学の卒業生であるといってくれていますし、将来PEAKの教育に協力したいと言ってくれている学生もいます。教えた側としてはとても嬉しいことです。将来卒業生が増えていく中で卒業生と東京大学、そして卒業生同士の強いネットワークができることを期待しています。

 

第588号一覧へ戻る  教養学部報TOPへ戻る

無断での転載、転用、複写を禁じます。

総合情報