HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報590号(2017年2月 1日)

教養学部報

第590号 外部公開

<前期課程の新設科目紹介> 人文科学ゼミナール

杉山清彦

展開科目

展開科目の3つのゼミナールは、前期課程の基礎科目と後期課程の専門科目をつなぐために、自分が関心のある特定分野の思考様式や研究方法を少人数形式で学ぶ授業です。

人文科学ゼミナール

人文科学ゼミナールは、初年次ゼミナール文科をはじめとする諸科目の修学を基礎として、より発展的な学びを行なうとともに、自らが関心を持った学問分野の思考様式・研究手法を、少人数で実践・体験する科目です。

この科目は、初年次ゼミで学んだアカデミックスキルを実践する、基礎科目・総合科目の履修で身につけた内容を前提とするなど、積み上げ式カリキュラムとして構想されており、入学以来の学びを通して培った力量に合せて履修できるという点で、人文学分野における習熟度別授業と位置づけられています。そのため、学生の関心と適性に基づいて履修できるよう任意選択としており、また一年次Aセメスター以降であれば、いつ、どれだけ履修してもかまいません。

人文科学ゼミナールの特色は、過去から未来にわたる人類の活動の総体を対象とするという人文諸学の広汎さを反映した、その多様性にあります。科目としては旧課程の基礎科目「方法基礎」を母体としていますが、総合科目「日本語/外国語テクスト分析」も合流しており、さらに文学部・史料編纂所など本郷の諸部局も出講していて、非常に幅広い範囲をカバーしています。具体的には哲学、文学、歴史学、地理学、文化人類学、心理学、美学、言語学、宗教学など多岐にわたり、またアプローチも文献読解、実習・実測、フィールドワーク、データ解析などまことに多彩です。

これら多様なコンテンツは、科目名にサブカテゴリーとして示される「哲学・科学史」「歴史学」「文化人類学」「テクスト分析」「データ分析」の五分野にまとめられていますが、個々の講義題目ははるかにバラエティ豊かです。いくつか例を挙げれば、「哲学の根本問題」「オランダ商館長日記を読む」「食からみるインド史」「文化の衝突」「『百人一首』注釈」「地域調査・地域分析の方法」などなど多彩かつ魅力的で、また毎年毎学期、大半が入れ替ります。

このような多様性を反映して、運営のあり方も、画一化するのではなくそれぞれの分野・内容に応じて決めることとしています。したがって、受講者数や前提となる能力の平準化のため、一定数以上が志望した場合に選考を実施することにしたり、指定する言語の能力を条件とするなどしていますが、それらは担当教員ごとに異なります。このため、ぜひシラバスによく目を通してください。

多様でありながらも共通しているのは、専門的な知識と技法を少人数で体験するという、濃密な学びの実践です。したがって、人文系分野に進学する学生にとっては後期課程への接続という側面も持ちますが、全体としては全ての学生に対し開かれているものであって、特定分野に囲い込んだり、当該分野の志望学生を早期訓練するためのものではありません。工学部志望の学生がロシア文学を原書で読んでみたり、経済学部の内定生がくずし字文書に取り組んだりするのは大歓迎です。

せっかく大学生になったのです。自分の興味関心に基づいて、知に触れたり、学びを深めたりしていってほしいと願っています。

(地域文化研究/歴史)

第590号一覧へ戻る  教養学部報TOPへ戻る

無断での転載、転用、複写を禁じます。

総合情報