HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報590号(2017年2月 1日)

教養学部報

第590号 外部公開

世界的視野をもった市民的エリートに贈る 「国際研修」

櫻井勇介

主題科目「国際研修」は二〇一五年度に開講された科目で、学生が異なる文化に触れ、国際交流の現場を体験し、グローバルな視野を養うことを目標としています。講義、現地調査、協働学習や施設見学などを含む授業が開講されており、そこで得られる成果が単位として認定されます。幅広い教養を身につけることが期待される教養学部ならではの総合的な知の構築と同時に、コミュニケーションスキルの向上をも目指す内容となっています。これまでにオーストラリア、ハンガリー、カザフスタン、中国、ドイツ等での海外での授業に加え、日本国内での国際研修も実施されています。ほかにもいくつかの授業が計画中です。

国際研修に参加した多くの学生からは肯定的な体験談が寄せられています。集中的な協働学習体験から、将来の社会でリーダーシップを担う意欲あふれる他国の学生が、どう学業と向かい合っているか実感できたことは他の授業では決して得られない貴重な収穫となっているようです。また、研修後に互いの国を訪れるなど継続的に交流を深め、無二の友人を得た履修生もいます。私は引率として履修生の取り組みをこの目で追ってきましたが、彼らの成果は、各学生が他者に興味を持ち、知の構築という活動を通して積極的に自ら新しい人間関係を築こうとした努力の賜物であると言えます。ぜひ、より多くの学生にこのような体験をしてほしいと思っています。

そもそもこのような授業の社会的な意義はどこにあるのでしょうか。日本語で生活を営む不自由がないように見える日本で、外国語で学業に励む意味はなさそうです。ところがビジネス分野では国内に集中していたのでは、成長が見込めないという現状をはじめ、研究世界でも多くの研究者に参考にされる研究であることが評価される傾向があります。地域社会で働き、生活するうえでも、増え続ける外国にルーツを持つ住民とその土地に長く住む者との共生が期待されており、異なる背景を持つ人々と相互理解しようとする態度を育みつつ、社会を形成する時代が目の前にあります。ますます少子高齢化し多様化する日本の法制度の諸問題も世間の耳目を集めており、医師を志すにしても世界の研究者と症例の情報交換をすることで職能とキャリアの向上に資することができます。様々な他者と共生できるスキル、態度、知識を養っておくことは将来の人生を左右すると言っても過言ではありません。

履修には海外経験の有無は問いません。本研修の機会を生かし、進んで視野を開こうとする積極的な姿勢が望まれます。履修生は、様々な国の学生と切磋琢磨しながら満足度の高い学習成果を修めており、この経験から長期の留学へと繋げる学生が見られるようになってきました。興味を持った方はぜひガイダンスへ、そしてお問い合わせはグローバリゼーションオフィス(21KOMCEE West B1F)へお越しください。Global Komabaのウェブサイトでも最新情報が更新されますので是非ご覧ください。

(グローバリゼーションオフィス/国際交流センター)

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