HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報607号(2019年2月 1日)

教養学部報

第607号 外部公開

第69回駒場祭の「巡回」から見えたこと

川島 真

二〇一八年十一月二十三日から二十五日まで第六十九回駒場祭が開催された。天候にも恵まれ、学内外の多くの方が駒場の雰囲気に接する良き機会となったであろう。運営に関わった駒場祭委員会の方々や協力者、また極めて活気ある多種多様な表現をしてくれた学生諸君、そして会場に足を運んでくださった方々に厚く御礼申し上げたい。
学部側でも、主に学生支援課の方々が駒場祭委員会と継続的に協議を重ね、駒場祭当日も献身的に業務にあたっておられた。教員は各運動会やサークルの顧問として、また講演会の演者として、あるいは学生委員会の委員として駒場祭に関わっていた。筆者も学生委員会委員長として、三日の会期中、丸二日駒場に「待機」し、学生支援課の方とのべ四回「巡回」をおこなう任務を与えられた。ここでは、表面的な観察であるにすぎないが、その所感を記しておきたい。
まず参加した駒場生の方々の才能と熱意に掛け値なしに心打たれた。相当の時間と労力をかけなければ実現できないその表現は感嘆に価するものだった。中には「内輪の盛り上がり」を重視しているように思われる場もあったが、このような業務に「動員」されていることへの研究者としての焦燥感─研究対象地域である台湾の大切な選挙の観察にも行けないことへの焦りと苛立ち─を吹き飛ばしてくれた。
次に準備、撤収をはじめ、火器まわりや立て看板などの行き届いた管理と、それに協力する学生たちの姿勢に驚かされた。無論、多々問題はあったのだろうが、今年は準備も撤収も速やかだとの声を多く耳にした。またゴミの弁別処理などもきわめて適切、かつ厳格だったという。これには駒場祭委員会だけでなく、上級生、OB・OGなどの協力があって実現しているとも聞いた。
今年度にはややイレギュラーなこともあった。たとえば、キャンパスの工事のために、ステージが十八号館東に移動するなど、例年使えていた幾つかのスペースの利用ができなかった。だが、これらの事態にもよく対処できていたと感じた。無論、ステージが移動したことに伴って、周辺住民の方から騒音などについて苦情があったが、それに対しても(果たして住民の方に満足頂いたかはわからないが)音量を下げるなどの対応をおこなっていた。
なお、今回の駒場祭も飲酒禁止であった。未成年の飲酒が違法なのは言うまでもないが、様々な経緯で成年者も含めて昨今は「飲まない」というルールになっている。これも次第に定着してきている印象だ。「飲まない駒場祭」のかたちが次第にできてきているのではないかということも、丸二日駒場祭を体験した所感である。

(学生委員会委員長/国際社会科学/国際関係)

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