HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報609号(2019年5月 8日)

教養学部報

第609号 外部公開

<後期課程案内> 医学部

医学系研究科長・医学部長 齊藤延人

医学部のご紹介
http://www.m.u-tokyo.ac.jp

医学部について
医学部は本郷キャンパスにあり、赤門から入って正面が医学部本館(二号館)で 、その周囲に教育研究棟、医学図書館、医学部一〜五号館などがあります。龍岡門から続くバス通りをはさんで東側には医学部附属病院があります。医学部には医学科と健康総合科学科があります。「医学科」は定員一一〇名で、人体の仕組みや病気の発症機序を学び、医師免許を取得することを目指します。「健康総合科学科」は定員四十四名で、病気の予防や、社会、環境との関係で疾患を考え、介護や健康の科学を創造することを学びます。東京大学医学部の学生は、将来医学・医療界でのリーダーとなることを社会から期待されています。高い理想と強い使命感を持って勉学に励み、サイエンスへの興味や医学の進歩への関心を育んで欲しいと思います。
医学科
医学部に進学後の学年は、M1、M2、M3、M4と呼びます。医学部の授業は、大きく「基礎医学、「臨床医学」、「社会医学」に分類されます。生化学など一部の授業は既に教養学部の二年生(M0)で始まっていますが、医学科ではまず、解剖学をはじめとした基礎医学や社会医学を学びます。病気を理解する上での基礎となる学問であるばかりでなく、将来研究者の道を目指す者にとっては、基礎医学やライフサイエンスへの興味を育む貴重な機会です。また、リサーチマインドを持った学生の育成のために、Ph. D.-M.D.コース、MD研究者育成プログラム、臨床研究者育成プログラムなども用意しています。
M2から臨床系の講義と実習が始まります。最近の医学教育では、参加型の臨床実習が重要視されており、クリニカルクラークシップと呼ばれています。この診療参加型臨床実習を開始するためには、知識と問題解決能力を問う全国共通の共用試験(CBT)と、診療の態度と技能を評価する試験「OSCE」に合格する必要があります。これらの試験に合格するとStudent doctor認定証が授与され、患者さんの前に出ることができるようになります。クリニカルクラークシップはM3からM4まで続き、各診療科を二〜三週間ずつ経験し十分な臨床実習を行うようになっています。M3の後半とM4では、Elective Clerkshipというさらに長期の集中的な臨床実習も経験します。
健康総合科学科
健康総合科学とは、ひとびとの生活にとって重要な構成要素である健康を軸に置き、人が生まれ、生活し、一生を終える一連のプロセスにおいて、幸福(ウェルビーイング)向上を実現するための科学です。健康総合科学では、人間の個別性・多様性、社会背景・社会規範などへ配慮し、さらに社会へ貢献することを目的としています。
この健康総合科学の目的に到達するためには、ひとびとの健康を支える理論と実践を志向し、自然科学・人文社会科学・そして実践科学の体系的統合を実現する必要があります。そのために健康総合科学科は、分子・細胞・臓器レベルでの人間の生物学を学ぶ「環境生命科学」、社会格差や医療倫理など、社会との関係の中で健康課題を分析して疾病予防や健康増進につなげる「公共健康科学」、健康の増進・維持・回復を支援する看護援助を科学し実践する「看護科学」の3専修を設け、専修間の相互連携も図っています。
学部教育を担当する講座は十四あり、それぞれが大学院医学系研究科(健康科学・看護学専攻、公共健康医学専攻、および国際保健学専攻)に属しています。教養学部の前期課程から本学科への進学定員は四十四名です。進学生は全科類枠を含め、理科二類が中心ですが、最近は理科一類も増えており、また、文科各類からも受け入れています。カリキュラムとしては、教養学部二年後期(A1期)から共通科目を中心に開講され、進学後の三年次A1期から原則として希望専修の科目を履修することになります。看護科学専修の卒業者は看護師の国家試験受験資格が得られます。
健康総合科学科の卒業生は約半数が大学院(公共健康医学専攻、国際保健学専攻、健康科学・看護学専攻)へ進学します。大学院進学者以外では、健康科学の知識を活かして保険会社、製薬企業、コンピュータ関連企業、外資系企業などへ就職します。看護学専修の卒業生は、医療施設やなどで看護師の資格を持って活躍しています。

(医学部長/脳神経医学)

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