HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報613号(2019年11月 1日)

教養学部報

第613号 外部公開

学生団体の活動における多様性尊重・男女共同参画の実現について

松木則夫

本学には、多種多様な学生団体があり、多くの学生諸君がそれらに所属して自由な活動を展開しています。文化活動や体育活動を通じて学内外の人たちと多くの交流を行うことは、人として成長していくうえで意義深いことです。本学は、学生の自主性・自律性を重視し、学生団体の運営における「学生の自治」を尊重したいと考えています。
ただし、本学の学生団体の活動は、大学の依って立つべき理念と目標を明らかにした「東京大学憲章」を前提として行われる必要があります。憲章では、その前文において、多様性を尊重する姿勢の重要性が以下のように明記されています。
『東京大学は、構成員の多様性が本質的に重要な意味をもつことを認識し、すべての構成員が国籍、性別、年齢、言語、宗教、政治上その他の意見、出身、財産、門地その他の地位、婚姻上の地位、家庭における地位、障害、疾患、経歴等の事由によって差別されることのないことを保障し、広く大学の活動に参画する機会をもつことができるように努める。』(東京大学憲章前文)
言うまでもなく、上記の「すべての構成員」には学生のみなさんも含まれます。しかし現状、本学には、本学の女子学生の加入を実質的に認めない、という類の運営実態をもつ学生団体が一部に存在しているとの報告があります。このように特定の属性をもつ学生を正当な理由なく排除する姿勢は、上記の東京大学憲章における人権尊重の理念に反するため、本学として是認するものではありません。本学では、みなさんが学生生活を安心して送れるよう、学生団体の健全な運営を実現するためのシステム作りを進めていきたいと考えています。
こうした問題は、性別に関する事案に限られるものではありません。学生団体およびそこに所属する個々人が、本学の構成員として東京大学憲章の理念に則って行動するよう、今一度心がけてください。お互いの多様性を重視する姿勢や態度を身に付けることは、自身の学生生活をより豊かにします。それだけでなく、みなさんがやがて社会において、真の意味での「世界的視野をもった市民エリート」(憲章前文)として活躍し貢献していくための大切な第一歩となるのです。

(東京大学理事・副学長)

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