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研究科長・学部長挨拶

伝統と先端-社会と歩む東大の教養教育

大学院総合文化研究科長・教養学部長
長谷川 壽一(はせがわ としかず)

img_2011.jpg東京大学教養学部(駒場)は、東大に入学したすべての学部学生が2年間を一緒に学び、課外活動を共に過ごすキャンパスです。2学年合わせて約 6500名の希望に燃えた若い学生諸君が、キャンパスに集います。さらに教養学部の後期課程(専門課程)の約400名と大学院総合文化研究科、数理科学研 究科の約1400名の大学院生も合わせると、学生数は8000名以上にも達します。駒場は、まさに若さとエネルギーにあふれたキャンパスです。

日本のヤングカルチャーの発信地、渋谷の雑踏から、閑静な住宅地を抜けてわずか15分ほど歩けば(電車であれば2駅3分で)、緑豊かな駒場キャンパスに 着きます。江戸時代には将軍の鷹狩場 -駒場野- として知られ、明治時代以降は東京帝国大学の農学部として利用されたキャンパスは、約25万平米の広さ を誇ります。駅前の時計台(登録有形文化財)とその両翼に位置する講堂と博物館、東西を貫く銀杏並木を挟む低層の講義棟群、キャンパスの北と西に広がる各 種の運動施設、そして東端には渓谷を思わせる駒場池といったランドマークから構成されるキャンパスは、都心の大学には他に類をみないゆとりの空間です。

大学1,2年生に対する前期課程教育では、日本の数ある大学の中でもっとも充実したリベラル・アーツ教育を提供します。年間開講科目数は、約3000科 目、それらを担当する教員数は常勤だけでも約400名にも上ります。1990年代、全国の大学が次々と教養部を廃止しましたが、東京大学教養学部はカリ キュラムの抜本的改革を行い、学部として教養教育を実践していく伝統を守りました。そして今日、激動する時代を生き抜く上の羅針盤としての教養教育が、い ままで以上に社会的に要請されています。「駒場からの教養」は、出版物や放送メディア、ネットなどを通じて、社会に向けても発信され続けています。
 駒場の教養教育をさらに先導する施設として、2011年秋には「理想の教育棟」が竣工します。ICT(情報交信技術)を駆使したゆとりの教室、自主的な学習を支援するホールなどを備えたこの先端的な講義棟は、駒場の教養教育の新しいシンボルとなることでしょう。

大学3、4年生に対する後期課程(専門課程)は、学際性と国際性を理念に据えたもう一つの教養学部で、1951年の学部創立時以来、日本の各界をリード する人材を多数輩出してきました。現在は、文理併せて6学科から構成されますが、2011年度入学者の進学時に合わせて大きく組織とカリキュラムが変わり ます。教養・学際・統合自然の3学科に再編成し、学科間および分科(コース)間の履修の垣根を低くします。学生諸君には副専攻(サブプログラム)の履修を 推奨し、複眼的な思考の涵養を目指します。バリアフリー教育やサイエンスコミュニケーションといった社会のニーズに応えた学科横断型の学融合プログラムが 開設されることも大きな特徴です。
 大学院としては大学院総合文化研究科があり、5つの専攻に分かれて最先端の学術と科学の地平を切り開く研究活動が日夜続けられています。さらに専攻を横 断する5つのユニークなプログラムも整備されています。これら大学院で創造される知的活動は、様々なチャネルを通じて学部教育にも環流されて、学部教育の 先端性を先導しています。

 教養学部は、東大生のみならず、地域や社会に対しても開かれた組織です。博物館で開催される展覧会、多彩な講演会、定期的なオルガン演奏会をはじめとし たコンサート、広い芝生を利用したパフォーマンス、高校生のための金曜講座など、文化の薫りの高い、大学が発信する各種の催しが年間を通して開かれていま す。キャンパスは、また、社会実験の場所とも位置づけられます。一例として、上に紹介した「理想の教育棟」では、大学施設における省エネ、脱炭素化を実現 するための最新技術が駆使され、エネルギー消費量を30%削減しています。バリアフリーや男女共同参画についても、大学は、社会のリーダーたる役割を担っ ています。

 東京大学大学院総合文化研究科・教養学部は、教育と研究の向上に最大限の取り組みを続けるとともに、緑と文化の香り高い開かれたキャンパスを守り、全体としての質の向上に日々努めてまいります。

 

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