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最終更新日:2012.07.31

ALESS

ALESS(Active Learning of English for Science Students)
理科生のためのアカデミック・ライティング・コース


2008年4月、東京大学教養学部は、理科生(理科I・II・III類)1年生全員が夏学期か冬学期のどちらかの1学期履修しなければならない必修授業としてALESSプログラムを開講しました。ALESSはActive Learning of English for Science Studentsの略で、授業はすべてネイティヴ・スピーカーが担当する少人数クラス(1クラス15名程度)になっており、独自に開発されたカリキュラムにしたがい、プログラム・マネージング・ディレクターのコーディネーションの下で運営されています。同ディレクターはまた、一方で駒場の英語部会、他方で本郷諸学部と駒場の理工系教員からなるALESS連携協議会との連絡を密にすることで、駒場の英語教育のなかでのプログラムの位置づけを明確にし、理工系の専門的立場からのカリキュラム内容についての具体的なアドバイスを受ける体制にもなっています。

欧米に追いつき追い越すことを目標に掲げた近代化が終焉を迎えた今日、もはや科学技術は海外から学びとるものではなくなりました。科学技術はグローバルな地平において共に創出し共に享受すべきものとなったのです。近代化からグローバル化という大きな時代の変化に即応して、英語という外国語学習の役割と形態もまた変わらざるを得ません。近代化においては海外の知見をいち早く学びとることが重要で、そのために「読解・翻訳」という受動的な能力の養成に焦点が当たっていました。今日のグローバル化に際しては、しかし、世界の人々と共に議論し世界の人々に創見を説くことが求められ、そのためには「書く・話す」という能動的(アクティヴ)な能力の涵養が必要になります。

能動的「書く・話す」英語能力といっても、和文英訳を主とした「英作文」では用を足さず、「コミュニケーション」も日常会話程度では意味がありません。「英作文」に代わって求められるのは、理工系にあっては、科学論文作成法の基礎(分析的思考と論理的表現)をシステマティックに形式化し(「アカデミック・ライティング」)、その形式を、実際に英語を書きながら学ぶことです。単なる「コミュニケーション」に代わって必要とされるのは、発言の論理的構築性であり議論に際しての対等の倫理観なのです。

ALESSプログラムは、これらすべての要請を、ネイティヴ・スピーカーによる、少人数クラスのティーム・ティーチングという形で実現しました。同時に、試験的小規模な「ライティング・センター」も設置し、大学院総合文化研究科・言語情報科学専攻に開設された英語教育コースにおいて、アカデミック・ライティング教授法の理論と実践の特別な訓練を受けた常駐TA(「ティーチング・アシスタント」)による個別支援体制を整えました。

対象学生を理系に限定したのは、ALESSプログラムの計画段階で実施したパイロット授業において、理系学生が「アカデミック・ライティング」にとりわけ強い興味とモーティヴェイションを示したことによっています。これは即ち、理系分野において英語のライティング・スキルが如何に必要とされているかを如実に物語るもので、どちらかと言えば文系よりも喫緊の程度が高いと判断したからなのです。

したがって、ALESSプログラム開設で、東京大学の英語教育が万全のものになったと考えてはいません。「アクティヴ」をキーワードにしたカリキュラム改革、あるいは「アクティヴ」であるために必須といえる英語各授業の少人数化はようやくその端緒に着いたばかりなのです。さらにどこまで英語教育を「アクティヴ」なものへと変えていけるかが問われてもいます。幸いなことに、全学的な理解の元、2010年4月、ALESS事務室及び特任教員室の移転に伴い、既存のライティングセンターを拡充したKWS(Komaba Writer’s Studio)が設置されました。今後は、このライティングセンターを中心に、文系をも含む新たな英語教育のプログラムの開発と実施が着々と進んでゆくものと、わたしたちは確信しています。

 

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