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最終更新日:2016.12.07

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2016.10.04

祝 ノーベル生理学・医学賞受賞 大隅良典先生

photo.png平成28年(2016年)10月3日、今年度のノーベル医学・生理学賞に教養学部基礎科学科(現在は統合自然科学科に改組)、大学院理学系研究科相関理化学専攻(同専攻の場所は駒場)ご出身の大隅良典先生(現在東京工業大学栄誉教授)が選出されました。

おめでとうございます。

大隅先生は、本学大学院を修了されたのち、米国ロックフェラー大学に留学され、帰国後は理学部の安楽泰宏教授研究室で講師として酵母の「液胞」をご研究されました。昭和63年(1988年)、教養学部の助教授として独立した研究室をスタートされ、駒場の大学院生とともにオートファジー(※1)の研究を始められました。ノーベル賞受賞理由として引用されている4報の重要論文のうちの2報(※2)は、本学教養学部生物学教室(現在は生物部会)での研究業績です。

大隅先生の「人がやらないことをやる」「基礎研究を大事にする」「いろいろな分野を学んでいく」「一つの興味を突き詰めていく」という姿勢は、教養学部基礎科学科や現在の統合自然科学科にも貫かれている理念であり、東京大学教養学部の教育がほぼ半世紀を経て、素晴らしいご研究に結実したことを私たちは誇りに思います。

今後の先生のさらなるご活躍をお祈りしております。

東京大学大学院総合文化研究科長・教養学部長

小川 桂一郎

 

(※1)オートファジー:生物が自らの作り上げているタンパク質を分解して再利用する体の「リサイクル工場」のような仕組み。これが上手くはたらかないと、アルツハイマー病やパーキンソン病、糖尿病などの疾患になると考えられています。

(※2)ノーベル賞受賞理由として引用されている4報の重要論文のうちの2報


祝 生命科学ブレイクスルー賞受賞 大隅良典先生

平成28年12月4日に、大隅先生が2017年の「生命科学ブレイクスルー賞」も受賞されることが発表されました。おめでとうございます。

Breakthrough Prizeのホームページ

思い出文集「駒場での大隅研究室」

平成28年12月10日のノーベル賞授賞式を控えた大隅先生宛に「思い出文集」を作成しました。
駒場キャンパス時代に大隅研に関わった方々を中心に執筆していただいております。

広域科学専攻生命環境科学系ホームページで「思い出文集「駒場での大隅研究室」」の公開中。

1989年の教養学部報の記事

教養学部報第337号(1989年1月20日)4面

時に沿って 十八年振りの駒場で
大隅 良典(生物学)

私は二五年前に理科II類に入学し、基礎科学科の第二期生相関理化学専門課程の第一期生として、七年間を駒場で過ごした。このキャンパスも新しい建物が建ち随分変ったが十八年振りに戻った三号館は当時とほとんど変っていない。この建物は私自身が初めて研究らしきものを始めた所であり、当時随分利用した遠心機などを研究室の片隅に見いだすと時の流れに様々の思いがめぐってしまう。

私は福岡市に生まれ、郊外の自然の中で昆虫採集や星をながめたりする極くありふれた小中学生時代を過ごした。父が大学勤めだったことも影響してか、将来は化学者になりたいと思いながら高校時代を過ごした。大学四年さらに大学院時代を通じて、我々の世代はベトナム戦争、様々の政治課題、大学の自治などに大変なエネルギーを費した時代であった。その分一生懸命に勉強したとは言えそうもない。当時設立された基礎科学科の理念は魅力的に思えて進学したが、そこで様々のタイプの友人に恵まれた。その頃から次第に分子生物学に興味を持つようになり、大学院は今堀和友先生の研究室を選んだ。六〇年代は分子生物学の最盛期であり、大腸菌を用いて遺伝暗号が次々と解明される様を、当事者のような気分で論文を読んだことを鮮明に記憶している。教授が農学部に転任したのを期に博士課程の最後の二年間は京大のこれも設立されたばかりの生物物理教室で過ごした。東大とは違った雰囲気と、意欲的な仲間に出合えたのは幸いだったと思う。その後東大農芸化学の研究生をした後にニューヨークのロックフェラー大学・エーデルマン(IgGの構造解析でノーベル賞を受賞)研に留学した。成果の挙がらない三年間であったが、細胞生物学のメッカであるこの小さな大学での経験はその後の自分の研究に大きな影響を与えた。その後東大理学部植物学教室に十年余りお世話になった。自由でかつ開放的な学科であり、そこで酵母の細胞生物学的な研究を続けることが出来た。そしてこの四月から大学院生の沢山いる大きな研究室を離れ、生物教室に最小単位の研究室を持つことになった。

急速な発展を遂げつつある現代生物学は膨大な情報の嵐であり、遺伝子操作技術や新しい最新鋭の機器の開発は一見、手作業の小規模な研究を排除しているようにすら見える。このような状況の中で、大学では、しかも小さな研究グループがどのような研究をなすべきかを研究の原点に立帰って真剣に考えてみたいと思っている。

最後に若い学生諸君に望むが、是非若いうちに積極的に動きまわって、いろんな人や考え方に直に接することを心掛けて欲しい。

教養学部報第337号(1989年1月20日)4面「時に沿って十八年振りの駒場で」(PDF)

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