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最終更新日:2015.08.19

KOMEX 科学技術インタープリター養成部門

科学技術インタープリターとは、社会における科学技術の意義を深く考え、一般社会と科学技術コミュニティとの間の双方向コミュニケーションを促進し、科学技術と社会のより良い在り方について提起できる人材である。

現代の社会では、科学技術により、誰もが生活の利便性を得ている一方で、社会構造や生活様式までも大きく変わってきている。また、その適切な利用方法や情報の解釈・信頼性をめぐる問題が広がりつつある。同時に、急速な科学技術の発展にともない、ごく一部の専門家にしか理解できない情報が増えており、それが人々を科学技術から遠ざける状況を招いている。研究領域の細分化によって、研究者間のコミュニケーション不足も指摘されている。そうしたなか、研究者がアウトリーチ活動を行い、説明責任を果たすことの重要性が認識されるとともに、専門家と非専門家の間の橋渡しとしての役割を担う人材養成が活発化している。

一般にこういった人材は「科学コミュニケーター」と称されるが、本部門では、単にわかりやすい表現で情報発信するだけではなく、科学技術と社会との関連性という観点から、主体的に考え解釈することを特に重視して、「科学技術インタープリター」という名称で、教育と研究に取り組んでいる。

名称への特別な思いは、プログラムのキーワード「何を伝えるか、どう伝えるか」にも通じる。科学コミュニケーター養成では、「どう伝えるか」というハウツー的な部分がフォーカスされがちだが、そこから一歩踏み込み、「何を伝えるか」に、より力点を置くのが、このプログラムの最大の特徴である。興味喚起や啓蒙的な視点に留まらない、科学技術について自ら考え判断する社会形成を意識できる人材養成を実施している。他の近接の人材養成が、科学コミュニケーションを業として、あるいは目に見える形で実践する人材の輩出を目的としているのに対して、本部門では、受講生自らの本専攻の知識に加えて、先述のインタープリターのマインドをしっかりと持った人材を育て、社会の様々なセクションに送り出すことを目指している。このマインドは、より良い社会を築いていくための新しい「教養」でもあり、どのような場面でも活かされ得るものと考えている。彼らがそれぞれの持ち場で活躍することで、このマインドが徐々に浸透し、ひいては科学技術と適切に向き合える社会風土の醸成を期待している。

本プログラムは、全学の大学院生を対象とする副専攻である。科学コミュニケーションをめぐる世界的な背景や理論を包括的に学ぶための教科書である『科学コミュニケーション論』を出版し、授業で活用している。「社会のなかの科学」を多角的に考える教育カリキュラムは、科学の基礎知識や先端の研究動向、科学コミュニケーションの理論的考察、文章やモノによる表現、科学技術政策と科学教育の現状、科学史・科学哲学、メディアリテラシーなどの授業・演習の他、ジャーナリストなどの学内外の有識者による講義、科学博物館・放送局・公共事業現場等の見学を積極的に取り入れている。

受講生の本専攻は、生命・環境・認知科学、医学、農学、工学から、法学、公共政策学、人文科学まで多岐にわたる。進路も、研究機関、行政、企業、メディアなど、多方面に広がっている。本専攻の研究や就職の準備とも重なる時期に、副専攻を履修するのは楽なことではないが、それに敢えてチャレンジする受講生の意識は極めて高い。多彩な講師陣が、カリキュラムの策定と教育、内外との連携や情報発信を進めている。東大広報誌での「インタープリターズ・バイブル」の紙面では、教員が毎号リレー・エッセイを執筆している。新聞や書籍などのメディアを通じた社会への発信の機会も大切にしている。担当教員が国際的に重要な会議や学会の代表的立場として活動する機会も少なくない。

今後は、大学院教育を同規模で引き続き推進し、学部教育にも活動の場を広げ、さらに望ましい貢献を果たす体制を確立していく予定である。時代の趨勢から、科学技術と社会を考究する教育がますます重要となることは疑いようのないことといえる。本部門にはその先駆者としての社会的役割も期待されている。人材養成としての機能はもちろんのこと、関係各所との様々な連携を大切にして、学内外ならびに国内外の学術的拠点としての活動もさらに強化していきたい。

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