教養学部
東京大学が目指すのは、自国の歴史や文化を深く理解し、尊重するとともに、国際的で複眼的な視野を持ち、高度な専門知識と柔軟な課題解決能力を兼ね備え、強靭な思考力と開拓者精神を発揮しつつ、市民としての公共的な責任を自ら考え、率先して行動できる人材の育成です。
その教育理念を実践するため、東京大学に入学するすべての学生は、前期課程と呼ばれる最初の2 年間は、教養学部に所属し、教養教育(リベラル・アーツ教育)を受けます。この教養教育では、広範で深い教養と豊かな人間性を培いながら、その後の様々な専門分野で先進的に取り組むために必要とされる、土台となる十全な知識と、既存の知識を批判的に吟味し独自の観点を創造しうる学術的な方法を身につけることを通して、自分の進むべき専門分野が何であるのかを見極める力を養います。
このように、教養学部は、東京大学の全学部に進学する学生の前期課程教育を担っていますが、独自に専門教育を行う後期課程(3、4年次)もまた擁しています。文系と理系を含むこの教養学部後期課程では、1951年の教養学科創設以来、東京大学の前期課程の精神を更に発展させ、「学際性」・「国際性」・「先進性」をキーワードとして、複数の領域をまたいだ関心を持ち、異言語・異文化の環境に積極的に関与しつつ、新しい分野を開拓しようとする気概を持つ、「越境する知性」の育成を目指してきました。国際関係論や文化人類学などの新たな学問分野が、日本の大学では初めて設置され、その発展において中心的役割を果たすとともに、理系の新しい学問分野である「複雑系の科学」もまたこのキャンパスで育まれ、世界的拠点となっています。
さて、教養学部後期課程は、60周年にあたる2011年、こうした伝統を踏まえ、さらに現代社会の要請や、時代の変化に対応するため、新たな改組を行い、既成の学科の大胆な組み替えを行いました。
新たな教養学部後期課程は、「超域文化科学分科」、「地域文化研究分科」、「総合社会科学分科」の3分科からなる文系の教養学科、「科学技術論」、「地理・空間」、「総合情報学」、「地球システム・エネルギー」の4コースからなり文理融合分野をカバーする学際科学科、および「数理自然科学」、「物質基礎科学」、「統合生命科学」、「認知行動科学」の4コースに加えて「スポーツ科学」のサブコースからなる理系の学科である統合自然科学科の3つの学科から構成されており、それぞれ特色ある教育を行っています。