HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報594号(2017年7月 3日)

教養学部報

第594号 外部公開

FLY Program活動報告会・交流会から

月脚達彦

初年次長期自主活動プログラム(FLY Program)の平成二八年度活動報告会と平成二九年度交流会が、五月一三日に開催された。平成二五年度から始まった本プログラムは今年で五年目を迎え、午前には21KOMCEE Westレクチャーホールを会場に、活動を無事に終えた八人の四期生が各自の活動の概要と成果を発表し、午後にはルヴェ・ソン・ベールに会場を移して、この四月にプログラムへの参加が決定した五人の五期生が活動計画を発表するとともに、修了生・関係教職員との交流・意見交換を行った。

午前一〇時三〇分から始まった報告会は、石井洋二郎理事・副学長の開会の挨拶に続き、四期生が一〇分間の持ち時間でスライドを用いながら自らの活動を紹介した。その後、中村尚推進委員長の総括、石井理事・副学長からの修了証の授与を経て、報告会は一二時三〇分過ぎに終了した。

四期生の活動は、①カナダでの日本語アシスタントティーチャー活動と教育現場の体験、②釜石市でのインターンを通じた復興・まちづくりに関する学び、③八〇都市二六カ国を回る世界旅行による知見の拡大(訪問先数においてFLY新記録であろう)、④出身地での多言語の学習と外国人に関わるボランティア活動、⑤国内・海外でのスポーツボランティア活動とスポーツを通じた地域社会での交流、⑥京都の寺院での生活、生と死をテーマとするヨーロッパ周遊、ホスピスでのボランティア活動、⑦国内での山小屋生活と里山保護活動、イギリスのエコビレッジ訪問、⑧国内・海外での農業・環境保護活動への参加と異文化交流というように多種多様であった。

それぞれの活動内容について、細部は学生支援課編集の平成二八年度『活動報告書』に譲るとして、四期生の活動には、まず国内の一ケ所に拠点を置いて一つの仕事に取り組んだもの、また特定のテーマを海外で追求したものという、本プログラムのモデルケースというべき活動を成し遂げたものがあった。これらは明確な目標と計画がなければ成果を挙げることが難く、「自主性・独自性」「長期性・継続性」「社会性・国際性」「公共性・規範性」という本プログラムの理念に沿った活動形態として、今後も受け継がれていくものである。

その一方で、これは中村推進委員長が総括で言及したことであるが、四期生の活動にはこれまでの修了生の活動とは趣を異にするものもあった。海外での活動はかなわなかったものの国内に居ながら従来の意識・価値観を相対化したケースや、国内で海外出身者とともにボランティア活動を行ったのちに海外へと出発したケースなどは、国内での国際性をもった活動、ないし国内と海外を組み合わせた活動としてプログラムの可能性を拡げるものであった。

さらに、海外での経験にもとづいて帰国後に国内旅行を追加したケースや、滞在先で関心をもったことを活動のサブテーマとしたケース、また、なかなか計画が固まらなかったものの、他者と接するなかで関心を定めて活動の後半期に自主性を高めたケースなど、活動の途中での気づきによって計画を修正し、結果的に予想以上の成果を得た事例も見られた。これらは修了証授与後の石井理事・副学長の講評にあったように、果敢に自分の外に出ていき柔軟に自分を変えようとした活動として、やはりプログラムの可能性を拡げるものだったと評価することができる。

午後一時に開始した交流会は、石田淳教養学部長の挨拶ののち、五期生と参加者が昼食を取りながら歓談し、金井崇運営委員長の五期生へのメッセージをもって同三時に散会となった。途中、五期生がそれぞれの活動計画を発表したが、まだ計画が具体的でなかったり、海外の訪問予定先と連絡が取れていなかったりして、おおむね緊張の面持ちだった。これから計画書のブラッシュアップを経て活動に取り組み、一年後、四期生のように一回り成長した姿に会えることを、四期の運営委員長として心待ちにしている。

(言語情報科学/韓国朝鮮語)

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