HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報600号(2018年5月 8日)

教養学部報

第600号 外部公開

〈後期課程案内〉教養学部 統合自然科学科

学科長 渡邊雄一郎

クリエイティブな自然科学

http://www.integrated.c.u-tokyo.ac.jp

統合自然科学科は、目まぐるしく日々発展している現代社会において自然科学のあるべきニーズに合わせて誕生した学科です。今、自然科学の発展は、各専門研究分野での最先端をリードするだけでなく、分野間の様々なコラボによる新たな展開、基礎と応用の接近によるモチベーションの重層化など、多岐にわたる波及効果を産みだしています。このような変化に合わせて統合自然科学科は、これからを担う世代の学生の皆さんへの分野間の垣根を下げた幅広い教育と、各分野の高い専門的な教育の両立を目指して設立されています。進学される学生の皆さんの考え方や志向も個性を伴うものでしょうし、社会のニーズの多様化に伴って卒業後の進路も広がっています。それを見据えて、統合自然科学科では複数のコースを設定し、その独立性とともに各学生の興味にしたがって分野をまたがる科目の取得や、卒業研究が実施できるようにカリキュラムを設計しています。以下、それぞれのコースの特色を述べますが、皆さんの思いに合致するところがきっと見つかると思います。

数理自然科学コース
数理自然科学コースでは、様々な数理的概念の理解を深めるとともに、広く自然現象の背後にある数理的構造を学びます。そして、自然科学を統合的に理解しようとする動機のもとで学んだ高度な数理的考えや手法を様々な分野に生かせるようにします。例えば、熟成した研究分野が対象としないような現象に対しても、柔軟に立ち向かえるような基礎知識を身につけることができます。

物質基礎科学コース
様々な階層の物質の物理学あるいは化学を、それぞれ個人の志向に応じて、深く、且つ広く学べ、現代のニーズに対応できる専門性を深めるのが目的です。従来の物性物理学、原子核物理学、素粒子物理学、物理化学、有機化学、無機化学などの分野をカバーする教育プログラムに加えて、領域横断的な科目が用意されており、新時代をリードするユニークな人材を育てることができます。

統合生命科学コース
統合自然科学コースでは、分子、オルガネラ、細胞、組織、個体における生命の成り立ちを階層や生物種を横断して理解し、さらにそれらを統合する生命システムの成り立ちを理解することで、生命科学のフロンティアを開拓できる人材を育成します。特に、DNAから微生物、植物や人間まで多くの階層を統合的に学ぶことで生命の本質に迫り、新しい概念を産み出すことを目指しています。その理解と異分野との融合で新たなバイオ素材を開発する生命科学の新しい応用研究も進められています。

認知行動科学コース
本コースは、理系カルチャーに半身を置きつつ心理学の人文的問題全般を扱い、二十一世紀型の心の学びの場を提供します。心の働きを統合的に把握するとともに、発生と適応の観点からも学びます。文科、理科生が半々である特徴を生かし、予備知識の多少によらず心の実証研究の本質が自然にわかるような教育研究を展開します。少人数で心理学実験法と実践を学び、最先端の手法を身に付けることができます。

スポーツ科学サブコース
スポーツ科学サブコースは、東京大学の中で唯一、スポーツと身体運動及び健康に係る教育と研究を行います。統合自然科学科に進学した学生で、このコースに興味があれば、卒業研究をスポーツ科学で行うことがでます。主な研究テーマとしては、身体運動に係る運動生理・生科学、バイオメカニクス、トレーニング科学、健康スポーツ医学などがあります。

以上、統合自然科学科では、科目選択の自由度が高く、他コースやサブプログラム、文科の科目などを柔軟に取得することもできます。卒業研究もコースに限定されず、一定の基準を満たせれば自分の好きな研究室で実施できます。研究室の数は所属学生に比べて多く、学生の研究室選びについて自由度が高いのも特徴です。所属コース以外の科目やサブコース科目を二四単位以上取ることで「副専攻」も取得できます。実際、学位記に加えて、「副専攻修了証」を手に卒業する学生も、コース科目をしっかり学ぶ学生もどちらも多いのが特徴です。

卒業生は、駒場(総合文化研究科)や本郷の大学院への進学者が多く、最終的には大学教員や公的機関の研究者、官公庁の専門職をはじめ、製造・金融・商社・コンサルタント・情報通信・製薬・マスコミ・出版など各種企業に就職し、多彩な活動をしています。進学先を決める際にはガイダンスやホームページだけでなく、みなさんにとって身近な駒場キャンパスの先輩や研究室を気軽に訪れてほしいと思います。

(統合自然科学科長/生命環境科学/生物)

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