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最終更新日:2018.07.09

教養学部報

第602号 外部公開

東大から世界へ~Go Global Gateway~

矢口祐人

二〇一八年度から東京大学では「国際総合力認定制度」(Go Global Gateway)が始まりました。今年度は教養学部新一年生を対象にしています。
「国際総合力」とはホームページなどで確認すると、「世界の多様な人々と共に生き共に働く力」とあります。実はこれは東京大学の「ビジョン2020」で謳われている力で、東京大学の教育目標でもあります。

とはいえ、これではいささか抽象的です。はたして「国際総合力」とはどのようなものでしょうか。
具体的には語学力がすぐに思い浮かぶでしょう。世界の多様な人々と付き合うには日本語だけでは困難です。英語をはじめとする、外国語能力は必須です。国際総合力認定制度では学生の語学力への関心をいっそう喚起するためのアシストをしていきます。

とはいえ、語学ができたところで、グローバルな人材にはなれません。英語が上手でも、思考や振る舞いはまったくドメスティックな人はたくさんいます。英語を使って世界の多様な人々を傷つけたり、怒らせたりすることもできます。よく指摘されるように、語学は必要ですが、それだけでは意味がありません。

より大切なのは、世界にある多様な価値観を受け入れ、他者と協働できる力を持つことです。そのためには自らを常に省みて、相対化する心構えが必要です。

これは簡単なことではありません。知らない人と会うのはエネルギーがいることです。自分と異なる価値観を持つ人と付き合うのは大変なことです。楽しいことや愉快なこともありますが、戸惑いや苛立ち、怒りを覚えることもあるでしょう。それだからか、今日のグローバル化する世界では、社会はますます多様化する一方、むやみに他者を攻撃する差別的な意識も激しくなっています。日本を含めた世界各地で偏狭なナショナリズムが強くなっています。

「世界の多様な人々と共に生き共に働く力」とは、このような内向きの意識に抗う知性を持ち、さらにそれを行動に移す勇気を持つことです。東京大学には優れた授業をはじめ、それを可能にするためのリソースがたくさんあります。国際総合力認定制度は学生がキャンパスの内外でこれらのリソースを自主的に活用し、グローバルな活動を行うことで、「世界の多様な人々と共に生き共に働く力」を養っていくことを促すものです。

*  *  *

この制度の具体的な利用法は以下の通りです。

①国際総合力認定のホームページから簡単なアンケートに答え、さらに四百字程度のGo Global Statementを提出してください。現在の自分の状況をふまえ、どのような国際的な力をつけたいかを書きます。このステートメントの提出が、認定制度への参加申請とみなされます。

②外国語の学修、授業などの国内での経験、留学などの国外での経験、さらに国際交流という四つのカテゴリーに合う活動を行います。すべてのカテゴリーを行う必要はなく、三つだけで構いません。これにより、必ずしも海外留学などをしなくても認定を受けることが可能になります。

③それぞれの活動の報告を四百字程度で書き、提出します。

④すべての活動を総括的に振り返る四百字程度の認定申請レポートを提出します。この際、制度の趣旨である(1)コミュニケーション力、(2)自信をもって挑戦する、(3)自らを開き、多様性を受け入れる、(4)他者と協働し、リーダーシップを取る、(5)自己を相対化し、国際感覚を持つという五点がどのように身についたのかに言及します。

⑤国際総合力認定証が発行されます。

⑥認定証を得た後も、さまざまな活動を続け、報告を提出することができます。これらの報告書、Go Global Statement、認定申請レポートをひとつのまとまった「ポートフォリオ」としてダウンロードすることができます。

なお、国際総合力認定制度に参加している学生には、学内外の国際イベントの情報などが案内されるのみならず、参加学生向けの特別イベントや研修なども計画されています。すでに今年度の参加は四月末で締め切りましたが、秋(九月〜十月)に第二次募集を予定しています。春に応募する機会を逃した学生の皆さんはぜひ応募を考えてください。

(地域文化研究/英語)

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