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最終更新日:2015.09.17

研究科長・学部長挨拶

知的エネルギーに満ちたキャンパスをめざして

大学院総合文化研究科長・教養学部長(2005年2月-2007年2月)
木畑 洋一(きばた よういち)

木畑 洋一東京大学の駒場キャンパス(より正確には、生産技術研究所や先端科学技術研究センターがある駒場IIキャンパスと区別するため駒場Iキャンパスと 呼ばれます)は、全国の大学の中でもユニークなキャンパスです。このキャンパスでは、東京大学に入学してきた全員の学生が、進学する専門課程についてさま ざまな可能性を模索しつつ最初の2年間(教養学部前期課程)を過ごします。 さらにこのキャンパスには、教養教育(リベラルアーツ教育)を重視した専門課程(教養学部後期課程)があり、多くの大学院生が学ぶ大学院総合文化研究科が あります。1、2年生の前期課程と3、4年生の後期課程とから成る教養学部は、日本の大学での教養教育を先導する役割を1949年における創設以来一貫し て果たしてきましたが、1990年代に全国のほとんどの国立大学で教養部が解体してからは、教養教育を主体的に担う単位としての存在意義をますます高めて きました。また文系と理系にまたがる教育・研究体制をもつ総合文化研究科は、既存のディシプリンを大切にしながら分野横断的な試みを行う大学院としての特 色をいかんなく発揮しています。

1、2年生から大学院までの学生と、文系・理系にまたがる教員を擁した駒場キャンパスでは、その利点を最大限に生かした教育や研究を行う努力が常に払わ れています。それは、駒場キャンパスで三つの「21世紀COEプログラム」が進行中であること、2005年4月から教養教育開発機構という新しい組織が本 格的な活動を開始することに、よく示されています。

三つのCOEプログラムとは、「融合科学創生ステーション」、「共生のための国際哲学交流センター」、「心とことば――進化認知科学的展開」です。 2002年度から始まった前二者も2003年度から開始された「心とことば」も、活発な研究活動を展開し、国際的にも高い評価を得ています。とくに、言語 学、認知科学、脳科学など文・理に広くまたがる「心とことば」の研究プロジェクトは、駒場ならではのものといえるでしょう。そして、これこそ駒場キャンパ スの強みといえるでしょうが、いずれのCOEプログラムも、そうした研究の成果や、研究のプロセスの息吹を、教養学部の前期課程、後期課程の教育に効果的 に反映させています。

教養教育開発機構は、2003年度に「特色ある大学教育支援プログラム」に採択されて活動を始めた「教養教育と大学院先端研究との創造的連携の推進」プ ロジェクトが発展して作られるもので、21世紀にふさわしい教養教育のあり方を研究・開発し、それを駒場で実践するとともに、全国に、さらに国際的に発信 していくことをめざします。これは、前述したように日本の大学における教養教育を常に牽引してきた東京大学教養学部の実績をふまえた、新たな取り組みで、 最初の特定課題としては、ライティングセンター開発とサイエンスラボ開発があげられています。

駒場の教養教育の国際的な発信のための手がかりとしては、2004年秋には、中国の南京大学に東京大学リベラルアーツ南京交流センターが設けられました し、東京大学が北京大学、ソウル国立大学校、ベトナム国家大学ハノイ校と、1999年から開いてきている東アジア4大学フォーラムでも、教養教育をめぐる 交流がつづけられています。教養教育開発機構の発足により、こうした動きがいっそう本格化することになるわけです。

このような新たな試みも含みながら、駒場キャンパスでの教育・研究活動は一段と飛躍しようとしていますが、これまで駒場キャンパスで行われてきた教育・ 研究が、大学評価・学位授与機構によって高く評価されたことも、ここで述べておきたいと思います。2002年度に行われた教養教育の評価(前期課程の教育 が対象)と2003年度に行われた総合科学の評価(後期課程と大学院の教育と、大学院の研究活動が対象)の結果にそれは明らかです。

こういった評価にも勇気づけられながら、私たちは駒場キャンパスをもっと知的エネルギーにあふれたところにするためのいろいろな取り組みをしようとしています。

教育面では、2006年度から実施される教養学部前期課程の新しいカリキュラムが作られています。1993年にそれまでのカリキュラムを抜本的に変えて 作られた現行カリキュラムの基本的骨組みのもとで中身を相当変化させた新カリキュラムによって、文科1類から理科3類までの各科類の特色をより明確にしな がら、幅広い教養教育を行っていく体制が作られます。大学院では、2004年度からはじまった、文理をこえて専攻を横断する新たな教育コースである人間の 安全保障プログラムの発展が図られます。また、アメリカ太平洋地域研究センター、寄附講座として運営されているドイツ・ヨーロッパ研究室(DESK)、上 述した東アジア4大学フォーラムなどを教養教育開発室とも有機的に連携させて、アジアの中、世界の中での駒場キャンパスの存在意義を高めるための仕組みを 創出することも考えられています。

充実した教育・研究を行っていくための施設の改善も重要な課題となっています。2005年春には、駒場での福祉厚生の設備を格段と向上させることになる コミュニケーション・プラザの建設が始まり、老朽化している教室棟の改修も着手されますが、改善すべき施設はまだまだ多くあります。そのため、教室環境向 上のための努力や、大学における教育・研究の要となる施設である図書館の拡充(2期棟の建設)に向けた動きが強められます。

2004年4月から国立大学は法人化し、新たな体制のもとで大学運営はなされています。しかし、教員・職員・学生が密接に協力して生き生きとした教育・ 研究を行いうる大学を作っていくという課題に変わりはありません。私も、研究科長・学部長として、その課題を精一杯追求していきたいと思っています。

 

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