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研究科長・学部長挨拶

学際性と国際性に満ちたキャンパスをめざして

大学院総合文化研究科長・教養学部長(2007年2月-2009年2月)
小島憲道(こじま のりみち)

小島憲道東京大学には、主要なキャンパスが本郷地区、駒場地区および柏地区にあります。このうち、駒場キャンパス(厳密には駒場Ⅰキャンパス)は、 7,000人を超える学生が学ぶ教養学部前期課程、約450人の学生が学ぶ6学科で構成される教養学部後期課程、約1,400人の大学院生が研究する5専 攻・3系で構成される大学院総合文化研究科の三層構造からなっており、大学院総合文化研究科に所属している多くの教員は三層全てに亘って教育を行なってい るところに特色があります。

東京大学は1949年に東京帝国大学から新制の東京大学に移行しましたが、新制大学発足時、殆どの大学に教養部が設置され2年間一般教養教育を受 けた後、専門課程に進学するシステムが採用されましたが、その後、専門課程の早期教育が重視される中、殆どの大学から教養部がなくなりました。このような 社会情勢の中で、東京大学は教養教育とその責任を担う教養学部の重要性を再認識するとともに前期課程教育のカリキュラム改革を行い、自然科学の進歩と国際 社会の変化に対応した教養教育を行ってきました。2005年には「教養教育開発機構」が教養学部に設置され、前期課程教育の向上に重要な役割を果たしてい ます。21世紀になり、再び教養教育の重要性が再認識されてきましたが、これは従来の縦割り型の学問体系では解決することのできない多くの難問が山積して いる中にあって、総合的な視野を持ち、困難な問題を解決することのできる資質を持つ人材が望まれているためです。地球規模の環境問題、化石燃料に替わる環 境に優しいエネルギー問題、民族紛争と人間の安全保障などどれ一つとっても縦割りの学問分野では解決できないものです。

東京大学では、前期課程教育を終了した後、学部・学科を選ぶシステムをとっています。これは、高校までに獲得した知識と興味で将来の進路を決定す るのではなく、大学に入学してから様々な分野の最前線の情報に出会い、また幅広い教養を身につける中で、自己の適性を知り、進路を選ぶことが重要であると いう理念(late specialization)に基づくものであり、矢内原忠雄初代教養学部長をはじめ多くの人々の情熱によって築きあげられ受け継がれてきた教育理念で す。教養教育の重要な目的の一つは、広い観点から学問の多様性と奥深さを理解し、特定の専門分野に偏らない総合的な視点や柔軟な理解力を獲得することで す。

教養学部後期課程および大学院総合文化研究科では、このような環境の下で学際的で領域横断的な研究および人材育成が育まれてきました。新しい学問 分野の創成や萌芽的な研究は、価値観の多様性を包み込む環境と学風のもとで育まれるものであります。大学院総合文化研究科では、「共生のための国際哲学交 流センター(UTCP)」、「融合科学創成ステーション」および「心とことば-進化認知科学的展開」のプロジェクト研究が文部科学省中核的研究拠点形成プ ログラム(21世紀COE)に採択され、学際的で先導的研究を推進してきましたが、これらの成果は大学院教育のみならず教養教育にも還元されています。

大学院総合文化研究科・教養学部のもう一つの特色に国際性があります。現在、駒場キャンパスでは、50カ国から約360人の外国人留学生が学んで いますが、このうち、教養学部後期課程では、16カ国24大学との間で1年間の交換留学制度AIKOM (Abroad In KOMaba)を設け、単位互換を前提に毎年25名余りの交換留学を実施しています。

駒場キャンパスは、緑豊かな自然、パイプオルガンや駒場美術博物館など教養と文化の香りのする施設に囲まれています。また、2006年に完成した 駒場コミュニケーション・プラザは、駒場キャンパスにおける学生および教職員約1万人の快適なキャンパスライフに寄与する施設です。駒場Ⅰキャンパスのこ のような環境が外国人留学生・研究者を含めた学生および教職員の交流が行なえる場として活用されることを願っています。

 

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