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2013.04.05
第1回 駒場サイエンス倶楽部(4月23日)
生きていることの状態論 ―生命システムの可塑性と揺らぎ
金子 邦彦 統合自然科学科+複雑系生命センター
若本 祐一 統合自然科学科+複雑系生命センター
開催日時:2013年4月23日(火) 18:10-19:10
開催場所:東京大学・駒場キャンパス 16号館 119・129室
「生命とは何か?」、あるいは「生きている状態の性質を個々の分子に還元しないで記述できないだろうか?」そうした問いに答えるべく研究をしています。
かつて熱力学が平衡状態という規定によって、そのマクロな性質を表わすことに成功したように、生きている状態への普遍的な現象論をつくれないでしょうか。
どこまでそれに肯定的な答えができるかはまだわかりませんが、それを目指した研究の一端を紹介します。
生きている状態に普遍的な性質としては、内部に多くの成分を持ちつつ増えていける(複製)、様々な環境に適応して状態を変化させ、その一方で安定性を有する(適応)、細胞が増えるとともに分化して、安定した集団をつくっていく(発生)、そしてより長いスケールで遺伝子を変えて進化していく、といったものが挙げられるでしょう。そうした問題に対して普遍的に成り立つ法則を求めて、理論と実験が手を携えて研究を進めています。今回は、そのうちで、生命システムが環境に対して内部状態を変化させる「可塑性」について、特に細胞状態の揺らぎと関係づけて議論します。金子が理論側から、環境応答と遺伝的応答そして揺らぎの間の関係について、若本がバクテリアの実験側から細胞状態や成長速度の揺らぎの法則、そしてそれと抗生物質への適応の関係などについてお話します。
関連URL:
http://www.integrated.c.u-tokyo.ac.jp/ [統合自然科学科]
http://www.ids.c.u-tokyo.ac.jp/ [学際科学科]