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最終更新日:2017.12.15

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トピックス 2014.02.18

【研究発表】福島第一原子力発電所から飛散したプルトニウムの分析

論文公開日: 2013年10月13日

発表者

小豆川 勝見(総合文化研究科 広域科学専攻 助教)

発表概要

  1. 2011年12月に福島第一原子力発電所正門前をはじめとして、主に20 km圏内の環境試料を採取しました。
  2. 福島第一原子力発電所事故由来のプルトニウムについて、加速器質量分析計(AMS)を用いて分析しました。
  3. 分析の結果、原発正門前で採取した植物片から、原発由来のプルトニウムを確認しました。
  4. プルトニウムの分析は社会的関心が高い一方で、正確な分析を可能とする環境が極めて限られていることから、国際チームを組んだ上で迅速に定量及び公開を行いました。論文公開後も引き続き試料採取と測定を続けています。

発表内容

2011年3月に発生した福島第一原子力発電所の事故により環境中に放出された放射性物質の中でも、放射性ヨウ素や放射性セシウムといったガンマ線を放出するものは、比較的分析が容易であるため、多くの研究機関で随時分析結果が公開されています。しかしその一方で、アルファ線核種、特にプルトニウムの場合、ほとんどの主要な同位体の半減期が長い(239Puは約24,100年、240Puは約6,560年)ことに加え、同位体のアルファ線のエネルギーが近いことから、1945年以降の核実験によって環境中に拡散されたプルトニウムと2011年3月の原発事故で放出されたプルトニウムを分離して測定するためには、従来のアルファ線分析法では、精度の高い測定値を出すことが困難でした。

さらに、プルトニウムを、高精度で分析できる施設が日本国内には限られていることから、本研究では、本学とハノーファー大学(ドイツ)、チューリッヒ工科大学(スイス)、ウィーン工科大学(オーストリア)、コロラド州立大学(アメリカ)の研究者で国際チームを組んで、チューリッヒ工科大学にある高精度で超微量な元素の定量が可能である加速器質量分析計(Accelerator mass spectrometry)を用いて分析を行いました。

2011年12月に採取した環境試料(土壌、植物片)20試料を詳細に分析した結果、17試料からはプルトニウムは検出されませんでした。その一方で、明らかな原発由来のプルトニウムは原発正門前(原子炉から約0.88 km)で確認され、239+240Puの放射能は約0.49 Bq/kgでした。この値は過去の核実験による飛散と比較しても大きなものではありませんが、プルトニウムをはじめとした放射性物質の飛散の状況をより明確にするためには、今後も多くの試料を分析する事が必要です。そのため、私たちの研究チームでは引き続き試料採取、測定を継続していきます。

発表雑誌

雑誌名
Scientific reports

論文タイトル
Plutonium release from Fukushima Daiichi fosters the need for more detailed investigations.

著者
S. Schneider, C. Walther, S. Bister, V. Schauer, M. Christl, H.A. Synal, K. Shozugawa, G. Steinhauser

論文公開ウェブサイト
http://www.nature.com/srep/2013/131018/srep02988/full/srep02988.html

問い合わせ先

小豆川 勝見(東京大学 大学院総合文化研究科 助教)
http://user.ecc.u-tokyo.ac.jp/users/user-10609/


20140218topics.jpg
帰還困難区域内での環境試料採取の様子

関連URL: http://www.nature.com/srep/2013/131018/srep02988/full/srep02988.html

 

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