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最終更新日:2017.10.13

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トピックス 2014.04.21

[受賞]広域科学専攻相関基礎科学系の上野和紀准教授、内田さやか准教授、堀田知佐准教授の三名が平成26年度科学技術分野の文部科学大臣表彰(若手研究者賞)を受賞しました

文部科学大臣表彰の若手科学者賞は、萌芽的な研究、独創的視点に立った研究等、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた40歳未満の若手研究者に表彰されます。

本年度は、大学院総合文化研究科広域科学専攻相関基礎科学系の三名が受賞しました。

上野和紀 准教授
業績名 「新規超伝導体の電場誘起キャリアドーピング法による研究」

内田さやか 准教授
業績名 「多孔性イオン結晶の階層的合成とその機能に関する研究」

堀田知佐 准教授
業績名 「強相関フラストレート系の特異な量子相に関する理論的研究」

授賞式は本年4月15日、文部科学省で行なわれ、メダルと表彰状を受け取りました。

 

文部科学省のプレスリリースは
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/26/04/1346090.htm
受賞した三名の業績内容は以下のとおりです。


上野和紀 准教授

業績名 「電場誘起キャリアドーピング法による新規超伝導体の研究」

上野准教授は全く電気を流さない絶縁体から、電場誘起キャリアドーピング法という新しい手法によって新規超伝導体を開発しました。超伝導は低温で物質の電気抵抗がゼロになる現象であり、新規超伝導体開発は日本が世界をリードする分野の一つです。従来の材料開発は金属元素を混ぜ合わせる、絶縁性の母材に不純物を混ぜ合わせて電気伝導を担う伝導キャリアを作り出すなどの化学的な手法により行われてきました。それに対し、電場誘起キャリアドーピングは電気的に伝導キャリアを作り出す手法であり、半導体トランジスタとして実用化されています。

上野准教授はこの手法を物質開発に応用するため、トランジスタの誘電体層を電解液という液体で置き換えた新しい素子を開発しました。その結果、超伝導体開発に必要とされる多量のキャリアドーピングが可能となり、初めて新規超伝導体を発見しました。今後、従来の化学的な手法に適さない様々な物質群を元にした物質開発が期待されます。

主要論文:
「Discovery of superconductivity in KTaO3 by electrostatic carrier doping」Nature Nanotechnology誌、vol. 6、p408~412、2011年6月発表「Electric Field Induced Superconductivity in an Insulator」、Nature Materials誌、vol. 7、p855~858、2008年11月発表


内田さやか 准教授

業績名 「多孔性イオン結晶の階層的合成とその機能に関する研究」

内田准教授は様々な機能性を持つ多孔性イオン結晶の合理的な合成法を開発しました。結晶性多孔体は、気体の吸蔵、混合物の分離、イオン交換体や触媒として、高効率な凝縮・変換機能を実現するため、基礎から実用まで盛んに研究がなされています。しかし、結晶性多孔体の合成はたぶんに経験学に基づいており、合理的な合成手法の開発は、材料化学分野における重要な課題の一つです。

内田准教授は、一般には密な構造を有するイオン結晶の多孔体としての可能性に着目し、ユニット(構成イオン)の合成、ユニットの複合化(イオン結晶の合成)、粒子形態制御、という三段階の階層的合成により、目的機能に応じた結晶性多孔体の合成を行いました。

本研究成果は、化学工業や環境保全に重要な、二酸化炭素や低級炭化水素の分離精製や変換材料としての応用が期待されます。

主要論文:
「Zeotype Organic-Inorganic Ionic Crystals by Facile Cation-Exchange and the Controllable Sorption Properties」, Angewandte Chemie International Edition, 49, 9930-9934,2010年12月発表
「Highly Selective Sorption of Small Unsaturated Hydrocarbons by   Non-Porous Flexible Framework with Silver Ion」, Journal of American Chemical Society, 130, 12370-12376, 2008年9月発表


堀田知佐 准教授

業績名 「強相関フラストレート系の特異な量子相に関する理論的研究」

堀田准教授は電子相関により特異な物性を示す系の振る舞いを理解するための様々な新概念、新手法を開発しました。強相関フラストレート系は、量子多体系の中でも特に非自明で、扱いが難しいことで知られています。これまで当該分野の理論的研究は、磁性体におけるスピン液体相の解明を中心に進められてきましたが、最も基本的な三角格子およびカゴメ格子系の理解さえ途上の段階にありました。

堀田准教授は新規量子相の探索を目指した研究を推進し、電荷のフラストレーションによる異常金属や、量子電荷ダイポールを起源とするマルチフェロイクスなど、当該分野の枠を広げる様々な新概念を導入しました。また、無限系の物理量を容易かつ精緻に求める「グランドカノニカル数値解析法」を開発しました。この手法は実際に新たな量子スピン液体相の発見をもたらしました。

本研究成果は、量子多体系の数値的研究の分野の一石を投じるとともに、当該分野の実験研究に対する道標としての役割を果たし、その発展に寄与することが期待されます。

主要論文
「スピン液体ダイマーモット絶縁相における量子電荷ダイポール」
Physical Review B 82, 41104, 2010年12月発表
「グランドカノニカル数値解析法:外場下での無限系の物理量の測定」
Physical Review B 86, 041108, 2012年7月発表

 

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新緑と残り桜の駒場キャンパスにて

 

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