新任教員紹介
石橋 純(イシバシ ジュン)
所属 | 専攻地域文化研究専攻 |
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学科教養学科 | |
部会スペイン語 | |
職名 | 教授 |
発令年月日 | 2015年7月16日 |
略歴 | ■最終学歴 東京大学大学院・総合文化研究科 |
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■学位 2000年3月 博士(学術) |
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■前任職 東京大学総合文化研究科 准教授 |
担当科目 | ■前期課程 スペイン語 |
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■後期課程 カリブ世界論、ラテンアメリカ民族論演習 |
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■大学院 北米・中南米地域文化演習III、エスニシティ文化変容論II(開発と貧困II、人間の安全保障演習VI) |
研究活動 | ■研究分野 文化人類学 |
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■研究業績
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■その他 Latin American Studies Association Film Festival入選(2000年) |
採用理由 | 石橋純氏の専門分野はカリブ地域スペイン語圏の文化人類学研究であり、その最も注目すべき研究成果は2006年に刊行された総頁数574の大著『太鼓歌に耳をかせ』である。2000年の博士学位論文「タンボールの政治性」に、その後の追跡調査に基づく大幅な増補を加えてまとめた本書で石橋は、フィールドワークとインデプスインタビューに依拠して、ベネズエラのプエルトカベリョという港町のアフリカ系人口の多い郊外地区で1970年代末に発足した草の根文化運動NPOをとりあげ、その後20年間にわたる活動と変容の過程を再構成した。このNPOは当該地区で昔から毎年行われてきた歌舞を伴う祭礼の復興を目的として設立されたものだが、、最初は左翼的傾向のある黒人文化復興運動であったものが、実績を積み重ねるうちに次第に中南米政治のパトロン・クライアント体質にとりこまれていく。非エリート階層出身の一幹部に牛耳られつつ、州政府にかけあって会館を建ててもらうかと思えば、チャベス左翼政権下で当該の幹部の地位が危機に瀕する。このNPOを追うことで、中南米における地域共同体の周縁的現代化のありようをきわめて具体的に、しかも全国政治や人類学・政治学の理論に目配りしつつ跡づけた点で卓越した業績である。同書以外にも石橋氏はその刊行の前後にわたり、1)チャベス政権期のベネズエラ政治と人種・エスニック関係、2)ベネズエラのアフリカ系文化とくにポピュラー音楽、等の主題について多数の論文を発表した。教育面においては、前期課程でスペイン語、後期課程でカリブ社会論、大学院で北米・中南米地域文化研究および人間の安全保障プログラムなどの授業を担当し、学生の人気が高い。前期課程全学体験ゼミナールをほぼ毎年開講し、多数の学生が参加している。学内行政においては、スペイン語部会主任、地域文化研究分科ラテンアメリカコース主任、教務委員、学生委員、社会連携委員、学部入試委員、人間の安全保障プログラム運営委員などをつとめた。学外でも、文化人類学会、日本ラテンアメリカ学会、日本ポピュラー音楽学会、Latin American Studies Associationに所属し、理事をつとめるなど意欲的に活動している。人柄は積極的で行動力に富み、今後も一層の活躍が期待できる人材である。以上から、石橋氏をこのポストに適切な人材と判断し、今後も研究・教育指導に多大の貢献を果たされることを期待する。 |
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