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最終更新日:2015.09.17

研究科長・学部長挨拶

活気あふれる「教養の森」

大学院総合文化研究科長・教養学部長
石井 洋二郎 (いしい ようじろう)

img_2013.jpg東京大学大学院総合文化研究科・教養学部は、若者の街として知られる渋谷からほど近い、閑静で緑あふれる駒場キャンパスにあります。ここでは約6500名の教養学部前期課程学生(1・2年生)、約400名の教養学部後期課程学生(3・4年生)、そして約1400名の総合文化研究科大学院生が学んでおり、全部あわせれば学生数は実に8000名以上に及びます。その教育に携わる専任教員数も約400名、普通の大学よりもよほど大規模な教育・研究の拠点といえるでしょう。

キャンパスの総面積は約25万平米、よく使われる例えでいえば、東京ドームが5つ以上入る大きさです。正門を入ってすぐ正面にそびえる時計台は登録有形文化財で、両翼に位置する講堂や博物館の建物とともに、学問の府としての峻厳な重厚さを感じさせます。

一方、キャンパスの中心を東西に走る銀杏並木に歩を進めてみると、一転して明るく活気あふれる光景が目に入ることでしょう。東には生協購買部や書籍部、食堂などの入ったコミュニケーション・プラザや、瀟洒な駒場図書館などがあり、多くの学生たちが毎日集い、賑やかに行き交っています。また、並木道を西に進んでいくと、テニスコートやグランドの広がる運動施設があり、さまざまなスポーツに汗を流す学生たちの姿が見られます。

東京大学に入学した学生は、全員がまずこの恵まれた環境の中で、狭い専門性にとらわれず、文理を横断する広い知的視野の獲得を目指す「リベラル・アーツ」教育を受けます。前期課程で開講されている科目数は約3000、質量ともに類例を見ない充実ぶりであると自負しております。1990年代には全国の大学が次々に教養部を廃止しましたが、私たちは学部組織を堅持してカリキュラムの抜本的改革を断行し、新たなコンセプトのもとで教養教育を実践していく道を選択しました。昨今は教養教育の重要性が各方面で再認識され、本格的な再構築に取り組んでいる大学も少なくありません。その意味でも、駒場の前期課程教育が果たす役割はきわめて大きいと考えています。

教養教育を先導する施設として、2011年秋には 21 KOMCEE(21 Komaba Center for Educational Excellence通称「理想の教育棟」)が竣工しました。この建物は、同年の冬学期から討議形式の演習やアクティヴ・ラーニングなど、さまざまな新しい授業の試みに活用されていますが、同時に省エネ・脱炭素化を実現するための最新技術を駆使してエネルギー消費量を30%削減し、先進的な社会的実験の場ともなっています。

さらに2012年10月には、英語で授業を行うPEAK(Programs in English at Komaba)が発足し、日本を含む世界11か国からやってきた27名の学生が一期生として学んでいます。まだ人数としては限られていますが、キャンパスでは彼らと一般学生が一緒になって英語で語らう光景がしばしば見られるようになり、明らかに雰囲気は変化しました。これが第一歩となって、5年後、10年後には、あちこちで複数の言語が自然に飛び交う文字通りのGlobal Campus が実現するのではないかと期待しています。

前期課程と同じ「教養学部」という名称をもつ学部後期課程は、1951年の学部創立時以来、「学際性」「国際性」「先進性」をキーワードとして先端的な教育を推進し、日本の各界をリードする人材を輩出してきましたが、このほど、従来の基本理念を継承しつつ、現代社会の急速な変化に対応するため、大幅な組織変更とカリキュラム改革をおこないました。新しい後期課程は、教養学科(文系)・学際科学科(文理融合系)・統合自然科学科(理系)の3学科から構成されます。こうした再編成を断行したねらいのひとつは、学科間および分科(コース)間の垣根を低くすることで、学生には副専攻(サブプログラム)の履修が推奨され、バリアフリー教育やサイエンスコミュニケーションといった、社会のニーズに応えた学科横断型の学融合プログラムも用意されています。ここに学んだ学生たちは、堅固な専門性と広範な視野を兼ね備えた貴重な人材として、これまで以上に多様な分野でめざましい活躍をしてくれることでしょう。

大学院総合文化研究科は、日本でも類例を見ない「文理横断型」の総合研究大学院で、言語情報科学・超域文化科学・地域文化研究・国際社会科学・広域科学の5専攻から成り、さらに広域科学専攻は生命環境科学系・相関基礎科学系・広域システム科学系の3系から構成されています。それぞれの分野で最先端の学術と科学の地平を切り開く研究活動が展開されていることは言うまでもありませんが、それだけでなく、人間の安全保障、グローバル共生、欧州研究など、専攻を横断するプログラムも整備されており、2012年10月からは学部のPEAKに対応するものとして、GSP(Graduate Program on Global Society=国際人材養成プログラム)とGPES (Graduate Program on Environmental Sciences=国際環境学プログラム)という2つのコースも新たに開設されています。また、大学院での研究成果がさまざまな形で教養教育に還元されていることも、学部前期課程から大学院までを擁する駒場ならではの特徴です。

駒場キャンパスでは、本来の教育研究活動以外にも、多彩な展覧会や講演会、定期的なオルガン演奏会、広い芝生を利用したパフォーマンス、高校生のための金曜講座など、学外に広く開かれた各種の活動が年間を通して展開されています。また、レストランやカフェも充実していて、学外から訪れる人たちも多く、まさに地域と社会に開かれたキャンパスといえるでしょう。

豊かな緑に恵まれた駒場の地にある総合文化研究科・教養学部は、学生たちの知性と感性を鍛え育む「教養の森」です。前途有為な多くの人たちがここで学び、たがいに切磋琢磨して、遠からず「世界的視野をもった市民的エリート」(東京大学憲章)として羽ばたいてくれることを願ってやみません。

 

平成26年度 教養学部学位記伝達式 式辞
平成26年度 東京大学学部入学式 教養学部長式辞

 

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