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最終更新日:2022.12.06

教養学部報

第538号 外部公開

〈理数系辞典案内〉数学

山本昌宏

辞典には2つの使い方があると思う:「引くこと」と「読むこと」がそうであろう。特定の言葉の意味 を辞書を使ってピンポイントで調べるだけではなく、筆者は辞書のぺージを適当に開いて拾い読みをすることが多くなった。ここでは「引く」だけではなく、 「読む」ための「辞典」も挙げる。さらに、与えられた課題は「辞書」案内であるが、辞書、辞典、事典、ハンドブックなどやや広い範囲から紹介したい。初心 者向けのものから、プロが一生使えるものまでを、筆者が知っている、あるいは使用している範囲で紹介しているが、完全なリストを目指しているわけではな い。ここであげなかった辞典などでも良いものは数多くある。インターネットや図書館で調べられるはずである。

①岩波数学辞典 第4版 (日本数学会:岩波書店:2007年:1976頁:15,750円)
数学の基礎から応用を含めて、専門的事項や最近の成果まで解説している。中項目主義をとっている。現行の第4版は第3版に較べて大幅な変更であり、応用 分野の項目が増えた。第2版は英語版もあり、世界的に定評がある。数学の研究者向けであるが、「読む」(あるいは、「読む」努力を払う)ことによって先端 の数学の雰囲気に触れることができる。

②現代数学百科 (矢野健太郎訳補:講談社:1968年:本文579頁:590円)
ブルーバックスから出ていたが、今は入手しづらいかもしれないが(古本屋などで入手出来るかもしれない)、筆者は40年ほど手元において使っているの で、個人的な好みもあるが、あえてここに挙げた。原書はドイツで出版されたもので大学初年次の程度までをカバーしている。初等的な範囲で公式集、数表も付 いている。

③ラルース現代数学百科 (彌永昌吉/岩崎宏次郎/吉崎敬夫訳:平凡社:1977年:358頁:2,500円)
②よりは進んだ部分の解説も含む。原書はフランス語であり、日本語の見出しに原語である(英語ではなく)フランス語が付いている。

④数学辞典 (一松信/伊藤雄二監訳:朝倉書店:1993年:664頁:24,150円)
原書は1942年出版の英語のものであり、②~④でフランス、ドイツ、英語圏の類似した性格の辞典を揃えて紹介したことになる。なお、④は巻末の数学用語の英語対照表にフランス語、ドイツ語、ロシア語とそれとスペイン語まであるのは他には見られない特徴である。

⑤岩波 数学入門辞典 (青本和彦/上野健爾/加藤和也/神保道夫/砂田利一/高橋陽一郎/深谷賢治/俣野博/室田一雄編:岩波書店:2005年:738頁:6,720円)
大学の数学までをわかりやすく解説している。入手しやすい。②~④に対応する日本語オリジナル版。
②~⑤はいずれも小項目主義である。

⑥現代数理科学事典 第2版 (広中平祐編集委員会代表:丸善:2009年:1470頁:46,200円)
いわゆる応用数学の事典(辞典でなく)で、読むのに適した事典である。

⑦応用数学ハンドブック (藤原毅夫/平尾公彦/久田俊明/広瀬啓吉編:丸善:2005年:716頁:25,000円)
偏微分方程式、数値解析などの理工系の大学の4年次までで学習する内容を解説している。ハンドブックなので読んで学習するのに適している。

⑧数学英和・和英辞典 (小松勇作編:共立出版:1979年:358頁:3,000円)
数学用語の英和・和英辞典である(用語自体の説明はなし)。講義で使われている術語は英語でなんというのかなというときに調べると面白いかも知れない。 数学の多くの用語は明治期に英語などの翻訳で作られたのです。さらに研究論文は英語で書くのが普通なので、論文を書くときも役に立つ。

辞典などではないが、公式集というものも重要である。
⑨数学公式Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ (森口繁一/宇田川銈久/一松信著:岩波:1956年:各318,340,298頁:各2,205円)
微分積分、級数、特殊関数についての公式をカバーしている。入手しやすく、便利である。コンピュータが発達したからといってこのような公式集が不要になることはない。手元に置いておきたい。

⑩新数学公式集Ⅰ 初等関数 (大槻義彦監修:室谷義昭訳:1991年:797頁:8,240円)
原著のロシア語の3巻本の公式集の一部の日本語訳で積分や級数の公式が7000余り収められている。原著の3巻本は公式集としては最大のものの一つ。

〈番外〉Handbook of Exact Solutions for Ordinary Differential Equations (A.D.Polyanin,V.F.Zaitsev著、Chapman & Hall/CRC,2003年:816頁:33,810円)
6200余りの種類の常微分方程式の厳密解を列挙している。このようなハンドブックは他にも色々ある。日常的にあまり必要はないが、図書館などで眺めていると色々面白い。

(数理)

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