進化認知科学研究センター
進化認知科学研究センター(Center for Evolutionary Cognitive Sciences: ECS)は、「人間とは何か」という根源的な問いを学際融合的に進展させるために、認知科学・言語学・脳科学という共時的な研究分野を、進化学という通時的な視点から統合することを目指している、世界的にも独創性の高い研究組織である。特に、鳥類や齧歯類の比較認知研究、「赤ちゃんラボ」で行われる認知発達研究、自閉症児を対象とした組織的な認知神経科学研究、言語学者と認知科学者の協働による認知神経言語学研究などを中心に進めている。
本センターは、学際・複合研究分野のための21世紀COEプログラム「心とことば--進化認知科学的展開」(2003-2007年度)の成果をもとに、さらなる発展を目指して2008年度に発足した。総合文化研究科・教養学部内において、人文・社会系と自然科学系をつなぐ研究拠点としての役割を担っており、広域科学専攻と言語情報科学専攻の教員で構成される運営委員会によって運営されている。また、2017年度より人間行動科学研究拠点準備室としての機能も持ち合わせ、大学全体の人間行動科学研究の中心となっている。
センターには、ラット、小鳥から、乳児・成人・集団に至るまで、ヒトと動物の認知過程を分子から脳、行動とさまざまなレベルで研究するための施設が整っており、最先端の融合研究を推進している。センター内には、視線計測システム、脳波計測装置、乳幼児実験室(「赤ちゃんラボ」)などの、神経科学・認知心理学のための共有実験設備を有している。2014年からは、MRI実験施設を導入して管理運営を担当し、東京大学におけるヒトを対象とした脳機能研究を支援している。
センターの事業としては、研究室を越えた各種共同研究を日常的に行うほか、学部後期課程で副専攻として履修可能な学融合プログラム「進化認知脳科学」の運営を行っている。近年は「言語の認知科学」、「言語の脳神経科学」、「進化人類学」、「発達認知脳科学」、「進化認知脳科学特論」、「進化認知脳科学演習」など多数の科目を開講した。また、大学院の文理横断型科目として「言語情報科学特別講義I」、「進化認知科学」を毎年開講している。
総括プロジェクト機構「東京大学こころの多様性と適応の統合的研究機構」の事務も本センターが担当している。同機構の教育部門にあたる学部横断型教育プログラム「こころの総合人間科学教育プログラム」も、センターが主体的に開講しており、「こころの総合人間科学概論」「こころの総合人間科学特論」「こころの総合人間科学演習」「進化認知科学実習」を新たに開講し、「臨床発達精神医学実習」を総合文化研究科科目として開講している。
これらの活動に加え、年数回の講演会を主催し、国内外の研究拠点との連携を進めている。総合文化研究科・教養学部内では、人文・社会系と自然科学系をつなぐ研究拠点として位置づけられ、言語情報科学専攻と広域科学専攻の教員で構成される運営委員会がセンターの運営を担っている。