HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報543号(2011年12月 7日)

教養学部報

第543号 外部公開

情報学環現代韓国研究センター駒場支所の開所 駒場の研究拠点と本郷との連携

木宮正史

543-B-1-2.jpg二〇一二年度中に、この駒場キャンパスでは三つの新しい大学院プログラムが誕生します。一つは四月にスタートする「グローバル共生プログラム」で

一〇月一二日午後六時から、アドミニ棟学術交流ホールで、東京大学大学院情報学環現代韓国研究センター駒場支所の開所記念の講演会およびシンポジウム が、約50名の参加者を得て開催されました。まず、田中明彦副学長、石田英敬学環長、長谷川壽一研究科長、李京秀韓国公使の挨拶の後、同センターを代表し て姜尚中センター長による「現代韓国研究センターのねらいと駒場支所に対する期待」という講演がありました。引き続き、私、木宮正史(副センター長兼駒場 支所長)を含め現代韓国研究に関与している駒場の教員七名、生越直樹(言語情報科学専攻・朝鮮語)、岩本通弥(超域文化研究専攻・歴史)、月脚達彦(言語 情報科学専攻・朝鮮語)、外村大(地域文化研究専攻・歴史)、三ツ井崇(言語情報科学専攻・朝鮮語)、朴祥美(パクサンミ、PEAK)による「駒場におけ る韓国朝鮮研究:現状とその可能性」というシンポジウムが開催されました。

現代韓国研究センターは韓国国際交流財団の支援を受け二〇一〇年度設立されました。情報、政治、文化をキーワードとして情報学環の特性を生かした現代韓 国研究に取り組むとともに、東京大学全体の現代韓国研究をつなぐ触媒の役割を果たすことを目的にしています。二〇一〇年度は「東アジア共同体と日韓パート ナーシップ」、二〇一一年度は「現代韓国文化のアジア的還流」をテーマにした研究に取り組んでいます。駒場支所は、現代韓国研究センターが駒場と本郷の現 代韓国研究を連携させるインターフェースの役割を担うことを目的として、九号館三一四Aのスペースに七月に開設されました。私が、元来、駒場の教員であり ながら流動教員として情報学環に移籍したことにより、両部局、両キャンパスを連携させる役割を担うことになったわけです。

本シンポジウムでは、駒場キャンパスにいる現代韓国に関連した多彩な分野の研究者が一同に会して、今後、駒場支所を中心として計画される現代韓国と関わ る研究教育に関する取り組みについて議論しました。それぞれの研究や教育をまず紹介し合うことから始めましたが、その中で、次のような興味深い論点が提起 されました。生越氏は、前期課程の学生のうち、韓国朝鮮語を履修する学生の比率が特に他大学と比較すると高くないという事実に注目し、それはなぜなのかを 説明するいくつかの仮説を提示し検証を加えました。また、朴祥美氏は、日本における現代韓国研究をもっとグローバルに発信していくことが必要ではないかと いう重要な問題を提起しました。

このシンポジウムの成果を受けて、今後、駒場支所では次のような研究教育両面にわたる事業を計画しています。第一に、駒場キャンパスの現代韓国研究の知 的リソースを最大限生かすためにも、広い意味で韓国現代史に関わる研究プロジェクトを立ち上げ、それと関連した資料収集や研究会の組織化、国際シンポジウ ムの開催などを計画しています。韓国、朝鮮半島は、その地政学的条件、さらに南北分断の経緯からして、それに関する研究は、日本、中国、ロシア、米国など との多国間関係にまたがる国際的な性格を帯びることが否応なく要求されます。

第二に、研究成果を授業などに活用し、教育面で還元するということを考えていきます。幸い、駒場は東京大学に入学する前期課程の学生が勉強する場であり、「東アジア」という視点から日本の歴史や現実を再照射するという知的営みの機会を是非とも提供したいと考えています。

現代韓国研究センター@駒場を、駒場における韓国朝鮮研究の拠点として、さらには、東京大学全体の韓国朝鮮研究の触媒として発展させることが重要な使命 だと考えています。是非とも、皆様にご関心をお寄せいただき、ご協力していただきますよう、お願い申しあげます。今後のセンターおよび駒場支所の活動につ いて関心を持たれた方は、センターのホームページ(http://ut-ccks.net/)にアクセスするか、駒場支所のメールアドレス(cckskmb [at mark] gmail.com)まで問い合わせていただけたらと思います。

(地域文化研究専攻/法・政治/情報学環)

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