HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報546号(2012年4月 4日)

教養学部報

第546号 外部公開

〈辞典案内〉漢和辞典

齋藤希史

小型辞典として、まず漢文読解に役立つものを二つ。①「全訳漢辞海」(戸川芳郎監修、佐藤進・濱口富士雄編、三省堂、第3版2011年、3045円)は、古典文を読むための「古漢語辞典」として、語法分析に特色があり、語釈もわかりやすい。付録も充実している。②「角川新字源」(小川環樹・西田太一郎・赤塚忠編、角川書店、改訂版1994年、2520円)は小振りだが多くの熟語を収録して信頼のおける簡潔な説明を付す。専門家の愛用者も多い。

また、日本語における漢字語辞典としては、五十音引きの③「角川現代漢字語辞典」(阿辻哲次・釜谷武志・林原純生編、角川書店、2001年、3990円)、近代文献から用例を集めた④「新潮日本語漢字辞典」(新潮社、2007年、9975円)も用途に応じて使い分けるとよい。なお、電子辞書に収録されている漢和辞典では、JIS第4水準まで収録されていること、韻目が表示されること、手書き検索ができること等を基準に選べばよいが、あくまで便宜的な使用に限るもので、学習用には向かない。

中型以上の辞典として、⑤「角川大字源」(尾崎雄二郎他編、角川書店、1992年、23446円)は、10万語の熟語を収録し、用例も豊富で専門的な使用にも耐える。⑥「新訂 字統」(白川静著、平凡社、2004年、18900円)、⑦「字通」(白川静、平凡社、1996年、23000円)、⑧「学研新漢和大辞典」(藤堂明保・加納喜光編、学習研究社、普及版2005年、9240円)は漢字の成り立ち・意味の解説にそれぞれ特色がある。

小型・中型辞典で解決できない場合は、⑨「大漢和辞典」(諸橋轍次著、大修館、修訂第二版全15巻、2000年、252000円)に図書館等で当たるとよい。ただし、いかなる辞書についても言えることではあるが、「大漢和」だから正しいというわけではない。 さらには中国で出版された古漢語辞典(語釈は現代中国語)である⑩「辞源(修訂本)」(商務印書館、1-4合訂本1998年)、⑪「漢語大詞典」(漢語大詞典出版社、縮印本1997年)、⑫「漢語大字典」(四川辞書出版社、第2版2010年)も参考になろう。

(超域文化科学専攻/国文・漢文学)

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