HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報547号(2012年5月 2日)

教養学部報

第547号 外部公開

〈本郷各学部案内〉 理学部:科学で人を育てる理学部

相原博昭

http://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/

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理学部物理学科の実験室風景
理学部は自然科学の教育と研究を行う組織です。特に、自然科学の基礎と言われる数学、物理学、天文学、化学、生物学、生物化学、生物情報学、地球惑星物理学、地球惑星環境学、情報科学の教育を行っています。理学部の最大の特徴は、教育の重点を「基礎」の部分に置いていることです。十の学科が、それぞれの専門を活かし、かつ連携しながら、自然科学の基礎を教えています。また、科学が社会へ与えるインパクトや科学と社会のかかわりについて、広くかつ深く考察する講義や取り組みも行っています。例えば、平成23年三月十一日の東日本大震災とその後の福島原発事故への対応について、科学あるいは科学者が、何が出来るのか、何をすべきかについて、学科や学部の枠を越えた議論や取り組みを展開しています。

理学部の教員は、自然科学の教育のプロであると同時に、自然科学の研究のプロです。それぞれ自分の専門を持って、科学の最先端の研究を行っています。理学部に進学した学生さんは、科学研究の第一線で活躍している世界トップレベルの研究者集団から教育を受けると共に、最先端の研究現場に立ち会う、さらには、最先端の研究に参加することが出来ます。その意味で、非常に恵まれた学生さんだと言えると思います。科学を知る、勉強する、研究する、あるいは、科学を世の中に役立てることに興味や意欲のある学生さんに対して、世界的に見てもきわめて質の高い教育環境を提供しています。

また、充実した学生生活を送ってもらうための様々な取り組みも積極的に行っています。学生支援室はその例です。卒業後の進路設定や就職活動への支援もさらに充実させます。例えば、理学部内にキャリア支援室を設けて学生さんの就職に関する支援を強化します。

理学部は、一人ひとりの学生さんが自らの興味を自らの力で、かつ自らの方法で追求していくことが出来るよう、講義、演習、実験、実習などを設計しています。しっかりした普遍的な基礎を身につけ、国内外を問わず、また言語や文化の壁を乗り越えて自らの夢を実現する人材を、自然科学の教育と研究を通して育てるのが理学部の第一の使命です。理学の素養を身につければ、課題や問題のいかんを問わず、さらには、履修した専門のいかんを問わず、常に自分の力でゼロから答えを導き出せるようになります。未知な物に立ち向かう姿勢と方法論が身につくのです。

自然科学のテーマは多様です。自らの好きなテーマが必ず見つかります。私は、量子物理という不思議な世界があることにひかれて、物理学、なかでも素粒子物理の研究に迷い込みました。量子物理というのは、とにかく不思議で、理学部に進学し、勉強し、研究し続けて、三十五年たった今でもよく分かりません。しかし、その分からないことに強くひかれています。

新しいことを理解する喜び、課題を発見し解決する喜び、新しいものを創造し発見する喜びは、一度経験すると決して無くなることはありません。科学とのつきあいは一生ものです。科学とつきあう喜びを発見し、その喜びをまわりの人や社会と分かち合うためにぜひ理学部を目指して下さい。迷ったら理学部に飛び込んでみて下さい。目標を高く持ち、自分の興味や好奇心を大事にして下さい。自分を信じて、決して妥協しないで下さい。我々は、そんな君たちをとことん支援します。(本案内は、「リガクル03」への挨拶文を元にしています。リガクル03は、教養学部一、二年生向けの理学部の紹介本なので、ぜひご覧になることをおすすめします。)

(理学部長・理学系研究科長/物理学)

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