HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報565号(2014年5月14日)

教養学部報

第565号 外部公開

〈本郷各学部案内〉教育・発達の総合科学:教育学部への誘い

南風原朝和

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グループワーク
学生の皆さんは、小学校から高等学校までの教育を経験し、そして現在は、大学の教育を受けています。また、小学校に入る前から、家庭や遊びの場面で様々なことを学んで、成長・発達してきています。このように、「教育」そして「発達」というのは、皆さんにとって、きわめて身近なものです。この身近なことを、学問的にその根源から問い直し、より良い教育、より健やかな発達のために役立てようというのが、教育学部の目標です。

より具体的には、教育学部では、(一)子どもの成長発達の仕組みについて、実験や観察などの科学的方法で実証的に迫っていくこと、(2)より良い教育の実践を探求すること、③そもそも「良い教育」とは何かを哲学的・歴史学的に問い直すこと、(四)教育が社会に与える影響や、逆に社会が教育に与える影響を検討することなど、教育・発達をまさに総合科学として学ぶことができます。

このうち(一)のアプローチは教育心理学コースや身体教育学コースで、(二)は教育実践・政策学コースで、(三)は基礎教育学コースで、そして(四)は比較教育社会学コースで重点的に学ぶことができます。教育学部はこれら五つのコースが「総合教育科学科」という一つの学科に統合されており、どのコースに所属しても、広い視野から教育の諸問題を考えることができるように工夫されています。

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卒業論文のポスター発表会
東京大学の教育学部は、いわゆる教員養成学部ではありませんが、教育学部で学んだことを中学校や高等学校の教育現場の実践に活かすことは大切なことであり、学校の先生への道は、卒業後の魅力ある、そして非常に意義のある進路の一つです。卒業生のその他の進路としては、大学院に進学してさらに研究を深め、大学の教員や研究職を目指す人や、官公庁、マスコミ・出版関係、教育・福祉関係、企業の人事・調査部門に就職する人が多いです。

大学院の教育学研究科では、学部と共通するコースのほか、臨床心理学コース、大学経営・政策コース、生涯学習基盤経営コースが新たに加わって、総合教育科学専攻を構成しています。たとえば臨床心理学コースでは、心理的なつまづきやそれに対するケア、そしてそこからの立ち直りの過程などに関する学問的研究のほか、実践的な臨床心理士の養成も行なっています。また、大学院のもう一つの専攻として学校教育高度化専攻があり、そこでは特に学校教育に焦点をあて、教育学部附属中等教育学校とも協力して、教職の専門性、教育内容の開発、教育政策等について研究を深めることを目指しています。

教育学部の教員は五十名ほどですが、そのうち、東京大学の出身者の出身学部は法・医・工・文・理・経済・教養・教育・薬の九学部にわたっています。もちろん東京大学以外の出身者も多く、総合科学としての教育・発達を学ぶにふさわしい陣容となっています。また、写真にあるような少人数ゼミや卒業論文指導も充実しています。教育学部のアットホームな雰囲気の中で、一緒に、楽しく、存分に学んでみませんか。

(教育学部長/教育心理学)

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