HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報580号

最終更新日:2021.02.03

教養学部報

第580号 外部公開

第二回「法曹へのいざない」開催について

白石忠志

~法曹三者の講演と質疑応答~
2015年11月10日(火)開催 於・900番教室

法学政治学研究科では、早川眞一郎先生をはじめとする駒場の法学ご担当の先生方および駒場の事務部の皆さんから手厚いご協力をいただき、「法曹へのいざない」という講演会を開催しています。このほど第二回を無事終えましたので、御礼かたがた様子を報告いたします。

発案と企画
「法曹へのいざない」は、2014年に、西川洋一法学政治学研究科長の発案により始められました。駒場で勉強を始めたばかりの学生が、法律実務の第一線で活躍する方々のお話を聴いて、何かを感じ取る機会としてもらいたい。そう願って企画しています。法学部学生の進路としては、法曹界だけでなく、行政、ビジネス、政治を始めとした多種多様な方向が考えられます。法曹界は、法学部学生の進路の一例に過ぎませんが、しかし言うまでもなく重要な一部分なのであり、法曹は社会において必須の役割を担っています。法曹となることを志す学生にも、社会の一断面として法曹界に関心を持つにとどまる学生にも、広く開かれた講演会とすることを目指しています。
第二回は、2015年11月10日(火)夕刻、裁判官・検察官・弁護士からおひとりずつお越しいただいてお話をうかがい、質疑応答にも十分な時間をとって、学生が日頃から感じている素朴な疑問を解消し、ネットで調べてもなかなかわからない実際の感触をライブで得てもらう場としました。

青谷さん(弁護士)のお話
青谷賢一郎さんは、1998年に法学部を卒業し、富士写真フイルムに入社されました。会社の主力製品である写真フィルムというものが実際上ほとんど消滅するという未曾有の事態に対応されたご経験それ自体に興味を掻き立てられますが、さらに青谷さんは個人としても多くの苦難を乗り越え、首都大学東京の法科大学院を修了し弁護士となって、現在は株式会社LIXILの日本法務本部で法務教育監査室長を務めておられます。企業内弁護士と法律事務所弁護士との比較、企業法務部において弁護士資格を持っていることの意味、などをうかがいました。

岡部さん(裁判官)のお話
岡部弘さんは、2004年に法学部を卒業し、東京大学法科大学院を一期生として修了されています。東京や広島の裁判所での仕事のほか、米国留学、最高裁判所事務総局において裁判所の組織を全体として考える仕事などのご経験をうかがいました。岡部さんは、裁判官の仕事の魅力として、仕事上の立場などに左右されず最後に自分で決めることができることを挙げ、また、「意欲に裏打ちされた能力」の大切さを強調されます。法曹界は現在は多難だという指摘があるとすれば、むしろこれから法曹界を目指す人たちにはチャンスだ、と後輩を励まされました。

東山さん(検察官)のお話
東山太郎さんは、1993年に法学部を卒業されました。地方検察庁における検察官としての仕事のほか、留学、法務省や財務省での条約交渉、法務省での法案作成などを経験され、現在は、二年間の予定で東京大学法科大学院の常勤専任実務家教員として学生をご指導くださっています。「HERO」に出てくるような検察事務官とのやり取りも少し紹介されましたし、大切な家族を殺された遺族に、殺した人を起訴できないことを伝えたときの辛いエピソードもお話しくださいました。板書や身振り手振りを交えた表情豊かなお話は、今も印象に残っています。

質疑応答
お話の後は、司会者と四人で並び、学生からの質問に応えました。裁判官や検察官になるにはどのようにすればよいか、検察官になるには少しでも若く合格しなければ駄目だと繰り返し聞かされているが本当か、など、きいてみたいがなかなかきけない話をうかがうことができたように思います。

将来に向けて
法学部卒業者には多様な進路が開けており、また、法曹だけをみても、法科大学院で学んだうえで司法試験を受験する方法もあれば、予備試験によって司法試験受験資格を得る方法もあります。ただ、将来を見据えて自分が向かうべき方角を探り、日々の研鑽に磨きをかけるには、世間に流布する不確かな情報に惑わされることなく、第一線で活躍する信頼すべき人たちとの接点を逃さずに、勇気をもって素朴な疑問をぶつけてみることが大切です。今後も可能な限り、そのような場を設けたいと考えています。

(法学政治学研究科/法曹養成専攻長)

580-5-1.jpg
質疑応答のひとこま(右から青谷さん、岡部さん、東山さん、筆者)

第580号一覧へ戻る  教養学部報TOPへ戻る

無断での転載、転用、複写を禁じます。

教養学部報