HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報583号(2016年5月11日)

教養学部報

第583号 外部公開

「ピアサポートルームが本格始動しました」

細野正人

人が人を支えること、人が人に助けを求めることは、本能的なものだと言えますが、現代社会は人間関係の希薄化が進み、そんな当たり前のことも難しい社会になっています。この希薄化は、大学生も例外ではありません。幸いにも教養学部前期課程にはクラス制があり、顔の見える人間関係が比較的作りやすい環境ですが、それでも、「誰かの力になりたい」「誰かに助けて欲しい」と気軽に言いづらい状況がありました。

この現状を変えるために、教養学部では全学学生相談ネットワーク本部と連携したピアサポートルームの運営を昨年から始めました。この活動は、サポートを必要とする学生に十分な支援を届けることに加えて、学生相互扶助システム構築と学生のピアサポート能力向上を目的としています。

今年からは本格的にピアサポート活動が展開されます。新入生向けに配布したクリアファイルに印刷されている駒場キャンパスマップには、皆さんの先輩が新入生に必要だと考えた情報を載せました。これもピアサポート活動の一環です。

次に、皆さんの先輩からのメッセージを届けたいと思います。彼女も支え合いの重要性に気づき、ピサポーターに立候補した一人です。

(駒場学生相談所/ピアサポートルーム)

 

「大学生活のスタートに寄せて」

教養学部3年 日下部夏希

ちょうど2年前の春、私は新入生としてこの門をくぐり、大学生活をスタートさせました。何もかもが新しく輝いて見えたあの日から2年、高校以前とは比べものにならない自由を謳歌した私は、この「自由」のもう一つの意味にも気づいています。クラスがあるとは言ってもずっと一緒にいるわけではなく、授業を休んでも先生からそれほど口うるさく咎められることもない。どこで何をするのも自分の自由。これは大学生にだけ与えられた特権であり、初めての喜びでした。しかし裏を返せば、自分の居場所は自分で見つけなければならないのです。部活やサークルに入るもよし、勉強やバイトに打ち込むもよし、恋人を作るもよし、皆何かしらの形で居場所を見つけていきます。ですがこれらは同時に、とても脆いものでもありました。何かのきっかけで関係がぷっつりと途切れてしまった時、自信をなくした時、この広いキャンパスに一人宙ぶらりんになっているように感じてしまうこともあるでしょう。そんな友人を目の前にし、私にはただ話を聴くことしかできませんでした。その時に感じた何かできないかという漠然とした気持ちを形にしてくれたのが、このピアサポート活動です。学生どうしで縦横の繋がりを作っていくことができれば、大学生活はもっと温かいものになるのではないか。私はそんな思いでこの活動に応募し、これからに期待しています。ピアサポートルームでは、学生の支え合いのために様々企画をしていきます。興味がある人は是非一緒に活動してみませんか。

昨年末に行われた、おでん交流会では、おでんの歴史や地域文化などについても学びました。

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