HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報583号(2016年5月11日)

教養学部報

第583号 外部公開

<本郷各学部案内>工学部

副研究科長 佐久間一郎

活力あふれる社会の実現の鍵を握る工学への招待

http://www.t.u-tokyo.ac.jp/

活力あふれる社会を実現するためには、様々な知識を駆使して現実の問題に取り組むことが必要となります。工学は自然科学をその基礎とし科学的な基礎研究に取り組む側面に加えて、現象の理解とともに人間がものを作るということそのものを研究対象としています。問題の分析のみならず、解決策を提案することをその大きな特徴とする学問です。工学は、私たちが生活する社会に関する「もの」と「こと」のほとんどすべてに関わっており、工学を学ぶことにより豊かな社会の実現に積極的に貢献することができます。

工学部は全部で16学科を有する学生数においても教職員数においても東京大学の中で最大規模の学部となっています。その活動を表すキーワードには、数学、物理学、化学、生物学などの基盤となる学問分野を表すものから、情報、環境、エネルギー、コンピュータ、通信、ネットワーク、都市、交通、社会インフラ、建築、機械、電気、新素材、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー、医療・福祉、安全安心、防災・減災・復興、システム、設計、デザイン、人工知能、ビッグデータ、マネジメントなどが含まれます。このように様々な分野をカバーする工学を学ぶ場である工学部に共通する特徴を次のようにまとめることができます。

① 現実社会の課題に向き合う

人類社会が直面する様々な課題が存在し、工学が挑戦すべき課題は極めて豊富です。また社会に対する理解や、倫理という視点での議論も重要となります。何が可能かという議論とともに、何を作るかという点についての深い議論が必要となります。

② 学問としての先端性を有する

問題解決には、新しい原理の探求が不可欠であり、多くの研究と技術革新につながる基礎的な研究活動が行われています。

③ 分析(アナリシス)と設計・デザイン・創造(シンセシス)の両方の側面を有する

様々な制約条件のもと現実的な解を求めるためには、問題の分析、その解決法の要素と要素間の相互作用に関する理解(アナリシス)に基づき、人工物を新たに創造する設計・デザインという活動(シンセシス)が求められます。解決法は一つではなくいくつもの実現形態があり、各設計者の個性が現れる人間的な創造活動に取り組んでいます。

④ 他の学術分野との連携を推進している

現実の課題の解決には複数の分野の専門家の協力が不可欠であることは言うまでもありません。さらに工学部では伝統的な学術分野とともに他学術分野との連携に積極的に取り組んでいます。工学技術と医学との連携により新たな診断治療法の研究開発を進める医工連携はその代表例ですが、現実社会における現象のモデリングやデータ解析、技術の社会実装に関する研究では社会科学・人文科学との連携による新たな学問創成に積極的に取り組んでいます。

⑤ 活動の場がグローバルである

現代社会における問題解決にはグローバルな視点を備えた活動が不可欠です。工学部では様々な国際共同研究が推進されています。卒業後多くの学生は大学院に進みますが、国際学会での論文発表などに積極的に取り組んでいます。

以上の特徴を有する工学部各学科における教育は、基盤となる基礎的学力養成教育とともに、実験・演習・プロジェクト演習・社会におけるインターンシップ等の実践力を養う教育が適切に配置されています。また工学部は工学英語教育のためのカリキュラム整備やスペシャルイングリッシュレッスンの提供、学術協定校との交換留学制度の推進など、国際化教育も整備されています。卒業研究で所属する研究室には大学院生として900名以上の外国人留学生が所属し勉学と研究に取り組んでおり、東京大学の中で最も国際的な環境の中で勉学・研究を行うことができます。

工学部の活動の詳細は工学部ホームページから見ることができます。ぜひ一度工学部ホームページを訪ねてみてください。資源の少ない我が国において、優れた科学技術は豊かな国を支えるために不可欠です。同時に、科学技術に対する期待、役割は時代とともに変化しています。世界的な貢献も含めて、この変化の激しい時代に将来を見据えて新しい工学を見つけ出し、新しい社会を築くのは、若い皆さんの役割です。ぜひ工学部の扉をたたいていただければと思います。

(副研究科長/工学部精密工学科)

 

 

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