HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報586号(2016年10月 4日)

教養学部報

第586号 外部公開

映画と即興の夕べ

ヘルマン ゴチェフスキ

organ.c.u-tokyo.ac.jp

900番教室には1970年代から日本の国立大学として大変珍しいパイプオルガン(愛称「森オルガン」)があります。作られた当初からオルガンを愛好する駒場の教員から構成される「オルガン委員会」が毎年三・四回演奏会を企画しています。「オルガン委員会」なので今年まで135回になる「オルガン演奏会」が当然ながら中心になるのですが、オルガン以外の楽器による「室内楽演奏会」も今まで一三回催されました。しかし今回企画した「無声映画を伴うピアノ即興」の夕べは従来の全ての演奏会と性質が違うので、演奏会を「番外」にすることにしました。

映画という新しいメディアが登場した初期には動画に音声がついていませんでした。音声を伴う後の「トーキー」と区別するためにこれら初期の映画は「無声映画」と呼ばれます。無声映画時代には映画音楽が無かったかと言えばそうではありません。ただし映画音楽は映画が映画館で上映される時にライヴ音楽として演奏されていました。そのためには決まった楽譜が提供されていない場合が多く、演奏者(様々な楽器編成がありましたが、ピアノが多かった)が適切な曲を自分で選択し、映像に合わせるために即興的に曲から曲へスイッチしたり、あるいは全てを即興で伴奏したりしていました。従って無声映画時代は即興文化の時代でもありました。

モニカ・メルツォヴァはすでに2013年に通常のオルガン演奏会にオルガニストとして出演しましたが、無声映画の伴奏を得意としているので、今回はこういう新しい企画を試みることにしました。ただし今回は一つの映画全体を見せるのではなく、チャプリンなど古典的な映画からいくつかの有名なシーンに加えて現代の動画も使う予定です。

(オルガン委員長/超域文化科学/ドイツ語)
 

日時:10月31日(月)
開演:19:00(開場18:30)
場所:学際交流ホール


 

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