HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報590号(2017年2月 1日)

教養学部報

第590号 外部公開

二〇一六年度防災訓練報告

新井宗仁

十一月七日の三限授業中に、震度六弱の大地震を想定した防災訓練が実施された。これは駒場Iキャンパスで初めて、全学生と教職員を対象に行う大規模な訓練だった。
教養学部HPにある防災マニュアルによると、被害の軽減には全学生と教職員が日頃から安全確保を意識し、安全対策を周知・点検することが重要である。こうした意識喚起と安全点検が防災訓練の目的だ。本キャンパスでは主に教職員向けの防災訓練を長年実施してきたが、授業中の大地震発生という最悪の事態を想定した訓練の実施は悲願であった。

緊急地震速報発令後の対応には、初期対応、避難、安否確認の三段階がある。初期対応では、ドアを開けて脱出口を確保し、身の安全を確保する(かばん等で頭部を保護、可能なら机の下に隠れる)。次に、揺れが収まったら建物外に避難し、各建物の防火担当責任者の指示があれば二次避難場所(ラグビー場)に避難する。避難後は速やかに安否を確認する。全員がこれら全てを訓練するのが望ましいが、構成員が約一万人と多く、初めての大規模訓練でもあるため、今回は初期対応訓練のみ全員で行い、避難・安否確認訓練は一号館とアドミニ棟でのみ実施した。

十四時三十分、緊急地震速報が流れ、訓練開始。初期対応訓練後、一号館以外は授業が再開された。一号館では学生と教員が建物外に避難し、学生は事前に配布され記名済の「安全カード」という名刺大の紙を教員に提出した。教員は回収した安全カードを数え、集計場所に提出して安否確認とした。並行して、アドミニ棟前では職員の避難と安否確認、および研究科長を中心とする災害対策本部設置の訓練が行われた。十四時五十分には全ての安否確認結果が報告され、次の授業に支障なく無事に終了した。他学部でも採用している安全カードによる安否確認は迅速に行われた。その後、消火訓練と駒場アラートによる安否確認も実施された。今回、放送設備によっては音量等に問題があったが、現在は解決済か対応中である。

訓練後のアンケートによると、参加者の半数は防災意識が喚起された。また九割が年一回以上、そのうちの四割が年二回(各セメスターに一回ずつ)訓練を実施したいと答えた。そのほか、全員の避難訓練を望む声も多かった。今回は初めてのため、やや慎重に過ぎたかもしれない。しかしこの経験を活かせば更に大規模な訓練を実施可能だろう。

実施にあたり、非常に多くの方々にご協力いただいた。田中淳防火防災部長には訓練全般について、トム・ガリー教授には実施要領の英語版作成、太田邦史副研究科長には放送について、学生相談所には訓練が困難な学生の補助にご協力いただいた。また、打ち合わせを重ねて準備を進めてきた防災WGの皆様、特に経理課施設係の石川副課長には多大なるご協力をいただいた。この場をお借りして感謝申し上げます。

(学部長補佐/生命環境科学/物理)

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