HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報592号(2017年5月 2日)

教養学部報

第592号 外部公開

<後期課程学部案内>教養学部(教養学科)

学科長 外村 大

広い視野、多角的アプローチによる知の探究の共同体

教養学部後期課程におかれる教養学科は、一九五一年に発足しました。組織改編のなかで教養学科という名称が消えた時期もありますが、現在は教養学科の名称のもとで一つのまとまりをもっています。そのスタッフは主に人文学・社会科学の研究者で、研究対象や方法的なバックグラウンドはかなり多様ですが、いずれもそれぞれの専門分野において卓越した能力を持つ研究者です。そして、新たな研究テーマに果敢に取り組み、自分が馴染んできたアプローチのみではなく、様々な方法、既存の学問領域の壁を超えた協働によって、理解を深めようとするという姿勢、志の持ち主であるという共通点を持っています。

そうしたスタッフが担う後期課程の教養教育で、学生のみなさんは、幅広い視野のもとで多角的に、自らが関心を持つ事象や問題について把握・理解し、分析・判断する能力を養っていくことになるでしょう。そのことで、卒業後の次のステップにおいても、それまで身に着けた学びの作法・真理探究の精神をもとに、新たな状況に対処し、それぞれの分野で活躍し、社会をよりよいものとしていく市民となっていくはずです。

教養学科の教育プログラムの特徴としては、①少人数を対象にした授業、きめ細かい学生指導、②サブメジャープログラム(副専攻)の制度、③高度な能力習得を可能とする外国語教育、があります。①は多くの授業が十人前後、あるいはそれより少ない学生の履修であり、教員やほかの履修者と共に議論しながら、学びを深めていく形態の教育が行われています。卒業論文も、教員と密接に連絡し、指導を受けながら作成することが可能です。②は、自身が所属するコース(主専攻)以外の他コースの科目等を登録して、サブメジャー(副専攻)とするものです。学際的なアプローチで自己の設定したテーマを深めようという学生はぜひ活用してください。③については、様々なレベルの語学のクラスが用意されており、日本語と英語のほかもう一か国語のハイレベルな運用能力とそれに関連した高度な教養を身につける後期TLP(トライリンガル・プログラム)も開講されています。異文化理解の基礎であり、グローバル化が進む現代社会で活動の範囲を広げるうえでも、外国語の習得、能力向上は、一生の財産となるはずです。

さて教養学科は、研究のアプローチや主な研究対象の違いをもとにして「超域文化科学分科」「地域文化研究分科」「総合社会科学分科」という三つのグループに分かれ、このほかに英語のみで授業が行われる「国際日本研究コース」を置いています。

超域文化科学分科は、さまざまな学問領域や学問領域や地域的境界、文化ジャンルを超えたダイナミックで横断的な学際性・総合性を特徴としています。そこでの学びの対象となるのは、伝統儀礼や民族芸能といったある文化圏の固有の事象、高度に情報化された社会に終えるグローバルな芸術や文化、そしてそれらの根底に横たわる言語活動や思想など、広い文化現象となります。分科内のコースとして、「文化人類学」「表象文化論」「比較文学比較芸術」「現代思想」「学際日本文化論」「学際言語科学」「言語態・テクスト文化論」の七つのコースがあります。

地域文化研究分科は、ある地域について多角的に学び、理解しようという分科です。研究対象の地域別に「イギリス研究」「フランス研究」「ドイツ研究」「ロシア東欧研究」「イタリア地中海研究」「北アメリカ研究」「ラテンアメリカ研究」「アジア・日本研究」「韓国朝鮮研究」の九コースが置かれています。ほかの分科以上に外国語能力の習得向上を重視し、卒業論文も指定された外国語での執筆や研究対象地域の言語の文献等を用いることが必須となっています。

総合社会科学分科は、「相関社会科学」と「国際関係論」の二つのコースから成り立っています。相関社会科学研究コースは社会科学の諸分野(法学、政治学、経済学、統計学、社会学)を横断的に踏まえて、多様な社会現象を総体的に理解することを、国際関係論コースは、複雑な国家間の相互依存関係を視野に入れて、グローバル化が進行する現代社会を複合的に研究することを、それぞれの目標としています。二つのコースは、カリキュラム(必修科目の設定)においては異なるものの、既存の社会科学における諸分野の縦割り的な制約を取り払って、グローバル化が進行する現代社会の諸問題に対してアプローチしようとすることで共通の特徴を持っています。

国際日本研究コースは、日本を含む東アジアの文化や社会を、国際的かつ学際的な視点から学ぶためのカリキュラムが組まれています。授業はすべて英語で行われます。

主体的に学び真理探究の精神を習得しようとする学生のみなさんが、教養学科という知の共同体に新たに加わることを願っております。

(教養学科長/地域文化研究/アジア・日本)

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