HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報592号(2017年5月 2日)

教養学部報

第592号 外部公開

<後期課程学部案内>教養学部(統合自然科学科)

学科長 深津 晋

次代の自然科学への誘い
http://www.integrated.c.u-tokyo.ac.jp/

統合自然科学科は、ますますめざましく発展している現代の自然科学のニーズに合わせて改組したばかりの新学科です。この二月に学科のホームページを大幅に改訂しました。また、昨年ノーベル賞を受賞された大隅良典先生は当学科の前身の基礎科学科を卒業されたことも特筆すべき事です。

自然科学の発展は、各専門分野の研究の最先端の進歩や、分野間のさまざまなコラボによる新たな展開、基礎と応用の接近によるモチベーションの重層化など、多岐にわたる波及効果をもたらしています。このような変化に合わせて、統合自然科学科は、分野間の垣根を下げた幅広い教育と、各分野の高い専門的な教育の両立を目指して設立された学科です。同様に、進学される学生の皆さんの志向もそれぞれでしょうし、卒業後の進路や社会のニーズも多様化しています。そのため、統合自然科学科では、各コースの独立性とともに各学生の興味にしたがって分野をまたがる科目を取得したり卒研を実施したりできるようにカリキュラムを設計しています。以下、それぞれのコースの特色を述べますが、皆さんの希望に合うところがきっと見つかると思います。

数理自然科学コース
数理自然科学コースでは、様々な数理的概念の理解を深めるとともに、広く自然現象の背後にある数理的構造を学びます。そして、自然科学を統合的に理解しようとする動機のもとで学んだ高度な数理的考えや手法を様々な分野に生かせるようにします。例えば、熟成した研究分野が対象としないような現象に対しても、柔軟に立ち向かえるような基礎知識を身に付けることができます。

物質基礎科学コース
様々な階層の物質の物理学あるいは化学を、学生は志向に応じて、深く、且つ広く学ぶことができ、現代のニーズに対応できる専門性を深めるのが目的です。従来の物性物理学、原子核物理学、素粒子物理学、物理化学、有機化学、無機化学などの分野をカバーする教育プログラムに加えて、領域横断的な科目が用意されており、新時代をリードするユニークな人材を育てることができます。

統合生命科学コース
統合生命科学コースは、分子、オルガネラ、細胞、組織、個体における生命の成り立ちを階層や生物を横断して理解し、ときにはそれらを統合する生命システムの成り立ちとして把握することで、生命科学のフロンティアを開拓することのできる人材を育成します。特に、DNAから植物や人間まで多くの階層で生命の実態を統合的に学ぶことで生命の本質に迫ることを目指しています。

認知行動科学コース
本コースは、理系カルチャーに半身を置きつつ心理学の人文的問題全般を扱う、二一 世紀型の心の学びの場です。心の働きを総合的に把握するとともに、発生と適応の観点からも学びます。文科・理科生が半々である特徴を生かし、予備知識の多少によらず心の実証研究の本質が自然にわかるような授業を展開します。小人数で心理学実験法と実践を学び、最先端の手法を身に付けることができます。

スポーツ科学サブコース
スポーツ科学サブコースは、東京大学の中で唯一、スポーツと身体運動および健康に関わる教育と研究を行います。統合自然科学科に進学した学生で、このコースに興味があれば、卒業研究をスポーツ科学で行うことができます。主な研究テーマとしては、身体運動に関わる運動生理・生化学、バイオメカニクス、トレーニング科学、健康スポーツ医学などがあります。

以上、統合自然科学科では、科目選択の自由度が高く、他コースやサブプログラム、文系の科目などを柔軟に取得することもできる。卒業研究もコースに限定されず、一定の基準を満たせば自分の好きな研究室で実施できます。研究室の数は所属学生に比べて多いので、学生の研究室選びも自由度が高いのも特徴です。所属コース以外の科目やサブコース科目を二四単位以上取ることで「副専攻」を取得できます。実際、学位記に加えて、「副専攻修了証」を手に卒業する学生も、コース科目をしっかり学ぶ学生もどちらも多いのが特徴です。

卒業生は、駒場(総合文化研究科)や本郷の大学院に進学する学生が多く、最終的には大学教員や公的機関の研究者、官公庁の専門職をはじめ、製造・金融・商社・コンサルタント・情報通信・製薬・マスコミ・出版など各種の企業に就職し、多彩な活動をしています。

皆さんの身近なところにありますので、ガイダンスやホームページだけでなく、先輩や研究室も気軽に訪れてほしいと思います。

(統合自然科学科長/相関基礎科学/物理)

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