HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報592号(2017年5月 2日)

教養学部報

第592号 外部公開

<後期課程学部案内>医学部

副研究科長 矢冨 裕
副研究科長 川上憲人

医学部へ進学する皆さんへ
http://www.m.u-tokyo.ac.jp/
 (大学院医学系研究科・医学部)
http://www.hn.m.u-tokyo.ac.jp/ (医学部健康総合科学科)

東京大学医学部の目的は、生命科学・医学・医療の分野の発展に寄与し、国際的指導者になる人材を育成することにあります。すなわち、これらの分野における問題の的確な把握と解決のために創造的研究を遂行し、臨床においては、その成果に基づいた全人的医療を実践しうる能力の涵養を目指します。私たちは、これから医学部に進む皆さんに、未来の医学を背負う、志の高い医療人・医学研究者を目指してほしいと願っています。

医学部は、人体の仕組みや病気の発症機序を学び、医師免許を取得することを目指す「医学科」(定員百十名)と、病気の予防や、社会、環境との関係で疾患を考える分野、さらに介護や健康の科学を創造する「健康総合科学科」(定員四十名)の二つから構成されています。

医学科では、ヒトの体の仕組みや病気の発症機序を学ぶ「基礎医学」、疾患の診断や治療に関わる「臨床医学」、集団や社会として健康を守ろうとする「社会医学」をバランスよく学んでいただくことになります。最初の一年半は主として基礎医学と社会医学の講義と実習を行い、二年生からは臨床医学の講義と病院での実習が始まります。近年では、参加型臨床実習の充実が目指され、二年生の十月に行われる共用試験(OSCE)に合格し、相応しい十分な知識、技術、態度を備えていると認定された学生はスチューデント・ドクターという呼称のもと、医療チームの一員として実習に携わります。学部学生時代に研究を積極的に行いたい学生の皆さんには、PhD-MDコース、MD研究者育成プログラム、臨床研究者育成プログラムの三つのプロジェクトを提供しています。PhD-MDコースは医学科で二年生または三年生までを修了後、医学科を休学して医学博士過程に進んで医学博士号を先に取得し、その後医学部に戻って医学士を取得できる、早くから研究に触れたい学生のためのコースです。

健康総合科学科では、臓器・細胞・分子レベルでの人間の生物学を学ぶ「環境生命科学」、社会格差や医療倫理など、社会との関係の中で健康課題を分析して疾病予防や健康増進につなげる「公共健康」、健康の増進・維持・回復を支援する看護援助を科学し実践する「看護科学」の三つの専修で学びます。これらの専門領域を統合し、さらに社会科学、人文科学ともつなげて、一つの学際的学問体系である健康総合科学を確立すること、さらにこの領域での専門家の育成を行うことがこの学科の目的です。特に国際社会に貢献できるグローバルな人材の育成を重要視し、学生の海外研修や海外教員による特別講義を積極的に推進しています。健康総合科学科の卒業生は約半数が大学院へ進学しさらに高度な知識を学んでいます。大学院進学者以外では、健康科学の知識を活かして保険会社、製薬企業、コンピュータ関連企業、外資系企業などへ就職します。看護学専修の卒業生は、医療施設や地方自治体、企業に、看護師、保健師の資格を持って活躍しています。

多くの学問がある中で医学の最も大きな特徴は、自然科学であると同時に、人間を対象とした、人間や社会との接点が大きい学問であることです。このことが、臨床医学はもちろんのこと、基礎医学・社会医学・健康科学に従事する者にとっても重大であることは、現在、医学・医療の大きな課題となっている遺伝子検査・治療、再生医療、少子・高齢化時代の医療・介護などの例を見るまでもありません。このことを決して忘れずに、専門の勉強だけでなく、人間としての成長、社会とのつながりを認識する姿勢も常に心がけて下さい。リベラルアーツ教育は駒場で終わるのでなく、本郷でも、そして、一生続くのです。

医学部の紋章
この紋章は、昭和三十一年(一九五六)東京大学医学部創立百年の祝意を表すため、緒方富雄教授(医学部)が、東京大学の赤門をデザインしたものです。赤門は、明治九年(一八七六)当時東京医学校(現東京大学医学部)が本郷の現在の場所に移り、明治十七年(一八八四)他の学部が本郷に移るまで医学部の門として使われていました。赤門は、もともとは文政十年(八二七)江戸時代の有力大名の加賀藩主前田家が、前田斉泰に嫁いだ十一代将軍徳川家斉の娘溶姫のために建てられた朱塗りの御守殿門であり、その希な様式と美しい表現が認められ、現在国の重要文化財に指定されています。
(東京大学大学院医学系研究科・医学部ホームページから抜粋・改変)

(副研究科長/内科学)
(副研究科長/公共健康医学)

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