HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報593号(2017年6月 1日)

教養学部報

第593号 外部公開

<TLP四カ国語 研修報告>充実の春、フランス語TLP研修

寺田寅彦

TLPフランス語の春の研修は、二月十三日から二十四日まで、リヨンとパリで行われました。十二日間の研修は、さまざまな大学での発表や学生交流、官公庁などの訪問と発表、高等教育機関や史跡の見学と充実した内容となりました。

研修はフランスの大都市のひとつであるリヨンで始まりました。まずリヨン第三大学を訪問し、キャンパスツアーと交歓会のあと、同大学日本語学科の学生と一緒に「環境」をテーマにショートプレゼンテーションを準備する作業をフランス語・英語・日本語の三か国語を用いて行いました。フランスでフランス語を用いて議論するという初めての体験でTLPフランス語の学生も最初は緊張しましたが、学んだフランス語が通じる喜びを実感しました。その後はそれぞれのグループが短い発表を行い、加えてTLPフランス語グループからは、日本で二週間かけて準備をした日本の公共交通機関についてのプレゼンテーションをフランス語で披露しました。

翌日からのリヨン市内の見学はローマ時代からの史跡や名高い教会ばかりではなく、廃棄物分別処理場のような公共施設でも行われ、フランス語での専門的な解説にTLPフランス語の学生も最初はたいへんそうでしたが、丁寧な説明にレベルの高い内容でも理解ができる楽しみを実感していました。

十八日にはフランスの新幹線として名高いTGVに乗ってパリに移動し、週末を利用してエッフェル塔やルーブル美術館、ヴェルサイユ宮殿などの史跡を見学しました。そして第二週目になり、最初に訪問したのはパリ市大気汚染調査機関のAirparifです。フランス語でレクチャーを受けたあとは、TLPフランス語グループが東京都の大気汚染対策についてフランス語で発表し、質疑応答に応じていました。第二週目になると早くもフランス語で考えることが自然になってきたようでした。午後にはINALCO(フランス国立東洋言語文化研究所)の日本語学科の学生との交流会がもたれました。
翌日は、午前にパリ第七大学所属のフランス国立科学研究センターのラボを見学して、環境汚染物質の採取や分析を実践させてもらいました。博士論文を準備中の研究員の研究内容のレクチャーも受け、専門性の高い科学研究の内容を理科生が文科生にあらためて解説し直してようやく全員が納得した、という一幕もありました。午後にはパリ第七大学で同大学日本語学科の学生と一緒に授業を受けて、TLPフランス語グループが花粉症とマスク着用についての発表を行い、またそのあとは環境問題の日本語のテキストを一緒に読解して、外国語として学ぶ日本語を体感しました。
三日目午前は日本の環境省ならびに厚生労働省に相当するANSESでのレクチャーを受け、TLPフランス語グループが電気自動車とハイブリッド車について発表を行いました。午後には高等教育機関の一つパリ政治学院を見学しました。この頃にはすっかりフランス語になじみ、積極的な発言が多くでるようになりました。

充実した内容の研修でしたが、フランスにいるということ自体が苦労と喜びの連続です。小さなものでも買い物のときにはフランス語を使わなくてはなりませんが、気に入ったものを買えたというだけでも達成感があるものです。パン屋に入ってクロワッサンを買ったり、アンティークの店に立ち寄ってすてきな小物を手に入れたり、電車に乗ったり、バスに乗ったりと、小さな体験を積み重ねていくうちに自然に大きく成長していく十二日間でした。それから、なんといってもフランスは食通の国です。シチューやフォンデュのような伝統的なフランス料理もさることながら、ガレットやピザといった軽食、ケバブやクスクスやフォーといった今やフランスではひろく愛されている各国の料理も堪能できて大満足の研修となりました。

(超域文化科学/フランス語)

第593号一覧へ戻る  教養学部報TOPへ戻る

無断での転載、転用、複写を禁じます。

総合情報