HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報597号(2018年1月 9日)

教養学部報

第597号 外部公開

駒場祭を振り返って

八田秀雄

今年の第六十八回駒場祭は、十一月二十三日を準備日として二十四日から二十六日まで行われた。二十三日は朝から強い雨だったのが、準備が本格化する昼に駒場祭の開会を告げるように急に鮮やかな青空に変わり、その後日曜の終了まで晴れが続き天候に恵まれた。来場者は例年どおり十万人を超え十二万六千人に達した。また今年は銀杏の黄葉が例年より早く、期間中に見頃から落葉も始まっていて、青空と黄色い銀杏とで色彩も印象に残る開催となった。

自分の学生の頃の駒場祭と今と比較してみると、学生の元気な活動や大変な人出など全般的には変わらない印象である。しかし細部ではいろいろな工夫が積み重ねられてきている。以前は多くの学生が宿泊していたが、今では原則宿泊禁止であり、八時までには帰宅することが守られている。今年も維持された禁酒禁煙と合わせて、これは駒場祭を安全にする大事なポイントであろう。今年から一号館西側のテントを一サイドだけにして模擬店の配置も考えて、道が狭くて歩けないほどの渋滞になるのも減っている。テントも以前は各団体が勝手に調達していたが、今は駒場祭委員会の管理で設置や収容のしやすいよいものが貸与されていた。またゴミ収集所がいくつもあり、分別が徹底されている点は、特によく運営されていると感じられた。会場内の案内看板やのぼり、立て札などもよくできている。また昔からステージの音量は周辺に影響する問題点だが、今年は苦情がなかった点もよかった。昨年は人を誹謗中傷するような無届け企画が出てしまったが、今回はそうしたこともなかったと思われる。

一方で反省点もないわけではない。筆者が一番感じたのは、建物内廊下に貼られている大量のビラである。これは昔と変わらずで一部の団体だけなのだろうが無秩序に貼りたい放題、大学生の分別が感じられなかった。またもうもうと焼き肉の煙を出す模擬店があり、焼き肉屋での火事のニュースがあったばかりで気になった。駒場祭委員会が大変よく運営管理をしているが、最終日終了後にも多くの片付け作業があり、四日間オーバーワークではないかと少し心配になった。

全般としては天候に恵まれ大きな事故もなく終了できた。学術企画にご参加いただいた先生方、学生支援課をはじめとするご協力いただいた皆様方に感謝したい。筆者の知り合いで、駒場祭を毎年大変楽しみにして来ておられた「棒高跳びおばあちゃん」中村さんという方がいる。残念ながら去年亡くなられたことが巡回していて何度も思い出され、「中村さん今年も来てますね」と青空に向かって言ってみたくなった。そんな楽しみにしている多くの方々と、いつものように駒場祭が晴天の下行われたことを喜びたい。来年からは体育館工事で少し状況が変わるが、また楽しく安全な駒場祭であってほしい。

(学生委員長/生命環境科学/スポーツ・身体運動)

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