HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報599号(2018年4月 2日)

教養学部報

第599号 外部公開

辞典案内 2018 ロシア語

安岡治子

①博友社ロシア語辞典(木村・佐藤・森安・栗原・中村・松井・桑野編、博友社、1995年改訂初版、1532頁、6000円)中型の学習辞典だが、ソ連解体後の特徴もよく反映されている。語数は変化形見出し約5500を入れて5万語くらいだが、現代ロシア語の語彙を中心にしている点に特徴がある。見出し語に国際音声字母による発音記号がつけられていること、巻末に和露索引が添えられていることなども、他の露和辞典に見られない特色である。重要語については、平易な用例が多数あがっており、活用辞典として作文に応用できるように配慮されている。レイアウト、印刷にも工夫がこらされており、初学者にとってはもっとも便利な辞書であろう。

②研究社露和辞典(東郷・染谷・石山・磯谷編、研究社、1988年版、2764頁、8000円)最大の収録語数を誇る露和辞典。用例はきわめて豊富で、文法上の説明も詳しい。同義語、反意語もよく拾ってある。ただ、分量があまりにも多いために、必要な情報を引き出すのに時間と手間がかかり、初学者向きとはいえない。類義語の説明もある程度の基礎知識を前提としている。なお、人名や地名など百科事典的な項目を本文見出しに採用し、しかもそれに簡単な説明を加えたことは特徴的である。範としている同社の「リーダーズ英和辞典」とちがって、語源が添えられていないのが残念。

③岩波ロシア語辞典(和久利、飯田、新田編、岩波書店、1992年版、2239頁、7800円)ソ連解体後のさまざまな変化を反映させているだけでなく、これまでの辞書とは異なり、口語、俗語にも詳しい用例をあげている点に特徴があり、文学作品などを読む場合には便利。人名、愛称に関しても詳しい。また語数、用例、百科事典的情報なども大辞典に匹敵するだけの内容をもつ。

④コンサイス露和辞典(井桁貞義編、三省堂、2003年改訂第5版、1329頁、4000円)かつて外国語辞典の代名詞ともなっていた「コンサイス」シリーズの露和辞典。小型ながら、語数は大辞典に迫るほど(見出し語・派生語約10万6千)豊富である。そのために見出し語の一部が追い込みになるとか、用例が語義分け番号に照応しないなど、初学者にとっては使いにくい点もあるが、携帯に便利で愛好者は多い。2003年に大改訂がなされ新しいロシア社会の変化に対応し、新情報、新語彙、新語義が大幅に増強された。なお、各単語の語源略解は類書にない特徴である。

⑤和露辞典には研究社和露辞典(藤沼貴編、研究社、2000年版、1183頁、6800円)等がある。

(地域文化研究/ロシア語)

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