HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報606号(2019年1月 8日)

教養学部報

第606号 外部公開

<時に沿って>駒場の景色から

木下卓巳

二〇一八年八月から広域システム科学系の助教として着任することとなりました。駒場には修士から博士課程にかけて在籍していたので馴染み深い環境ですが、学生の頃とは異なる視点で改めて眺めてみると新鮮に感じます。まだ着任から日が浅いのですが、私が感じた駒場について述べてみたいと思います。
私は博士課程を修了した後、駒場Ⅱキャンパスの先端科学技術研究センターの特任助教に着任し六年ほど研究に従事して参りました。その間もこの駒場Ⅰキャンパスを学会やセミナー等で利用させていただき各方面のみなさまには大変お世話になりました。
駒場Ⅰキャンパスは駒場Ⅱキャンパス同様、都心には珍しく緑に囲まれた自然豊かなキャンパスであります。明治初期の古地図を見ると、この一帯は農学校だったようです。後に東京大学に再編されるのですが、近隣の駒場野公園もその跡地であるそうです。つまり、かつては現在の井の頭線を越えた広大な自然に囲まれていたようです。この緑あふれる環境はその名残といえるかもしれません。自然が多いためか、カブトムシや蛇といった普段あまり見かけない生き物がよく出没するように思います。(あるいは飼っていたペットが逃げ出しただけかもしれませんが) 私は夜型な人間なので、深夜に野球場門を出入りすることが多々あるのですが、門の周辺では尾の長い見慣れない動物が駆け回っているのを何度か目撃しています。あいにく、動物に詳しくないので名前までわからないのですがいつか調べてみたいと思っています。
本郷と駒場キャンパスについて述べる方は多くいるかと思いますが、同じ駒場でも一ブロック隔てた駒場ⅠとⅡキャンパスにもそれぞれに個性があるように思います。駒場Ⅱはご存知の通り先端科学技術研究センターと生産技術研究所が入っていて、研究に従事する職員の比率が高い傾向にあります。一方駒場Ⅰキャンパスは一、二年生を主体とした学生が多く、また平均年齢が若いせいか自分の年齢を強く感じさせられます。助教は研究者として駆け出しであるわけですが、研究者を中心とした駒場Ⅱキャンパスと、学生の教育も行う駒場Ⅰキャンパスでは立ち位置が少し異なるように思います。同業の研究者に囲まれていると、上司や同僚といった関係だけですが、そこに大多数の学生の存在が加わります。よく、兄弟姉妹の末っ子は年上の姿をよく見て育つといわれますが、似たような構図が存在するようにも思います。身近な年上の存在は、自分の将来像を思い浮かべる際の良いモデルケースとなるわけです。ただ、人は置かれた環境の中で切磋琢磨しているうちに成長していく面もあると思います。私にはまだ模範となるようなところはあまりございませんが、少しでも成長できるよう頑張りたいと思います。
長くなりましたがこのような恵まれた環境で働けることを日々幸せに思っております。みなさまどうぞよろしくお願いいたします。

(広域システム科学/化学)

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