HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報608号(2019年4月 1日)

教養学部報

第608号 外部公開

<施設・組織紹介>駒場博物館案内

伊藤元己

http://museum.c.u-tokyo.ac.jp/


駒場キャンパスの正門を入ると、時計台のある一号館前ロータリーを右に回り込んだ奥、大きなヒマラヤスギの後ろに、格調高い正面を持った建物が立っています。それが駒場博物館です。もし巨木によって視界が遮られていなければ、九〇〇番教室のファサードと一対をなす駒場Ⅰキャンパスの正面の景観を決定づける重要な建物であることがもっとよく分かるはずです。
この建物は、昭和初期に教養学部の前身である旧制第一高等学校の図書館として建てられた由緒あるものです。戦後は、教養学部図書館や教務課、美術博物館展示室として使われてきましたが、二〇〇三年に全面的な改修が行われ、現在の博物館施設が完成しました。
駒場博物館は、美術博物館と自然科学博物館という二つの博物館で構成されています。
美術博物館は、初代教養学部長・矢内原忠雄教授の掲げた文理横断型総合教育構想の一環として一九五一年に発足しました。最初は展示スペースもありませんでしたが、十年にわたり資料蒐集が行われ、一九六一年、旧第二本館内に展示室が開設されました。現在の建物の二階に移転したのは一九七一年のことです。以来、定期的に展覧会や、講演会を開催してきました。
一方、自然科学博物館は、一九五三年に、総合文化研究科の自然科学系の教官をメンバーとする自然科学博物館委員会によって設置されました。かつては展示室を持たなかったため、年一回、駒場祭に合わせて資料を公開し、その他、講演会を定期的に開催する等の、地道な教育活動を続けてきました。
二〇〇三年秋、現在の建物の改修が完了したことをうけ、自然科学博物館もこの建物に移転し、長年にわたり独自の活動を行ってきた二つの博物館がはじめて同じ場所で活動することになりました。
二〇一九年度は、春に、特別展「文字なき文明の名もなき名工たち─古代アンデス研究の新展開」(会期:三月二十三日〜六月三十日)と、所蔵品展「展覧会カタログ2018」(会期:四月一日〜六月三十日)を開催いたします。
夏には、特別展「Arctic. The Last Frontier」展(会期:七月二十日〜九月二十三日)、秋は、特別展「東京大学野球部創立百周年記念展(仮題)(会期:十月十二日〜十二月八日)を開催する予定です。
詳細はホームページをご覧ください。
また、展覧会以外の活動として、日本全国の美術館・博物館で開かれた展覧会カタログを幅広く収集した資料室を開室しています。ここに所蔵されている展覧会カタログは,東京大学オンライン所蔵目録(OPAC)で検索することができます。資料室は、毎週水曜と木曜日十三時〜十七時まで開室しており、それ以外の日には閉架式となっています。利用は基本的に、閲覧・当日貸出・館外での複写のみとなります。
駒場博物館は、一般公開を原則としており、学内外の方々に気軽に訪れていただきたいと考えています。学生と教職員の皆さんが授業や研究や仕事の合間に気楽に立ち寄り、教養学部でしかえられない視野の獲得とやすらぎの場として活用してくださることをなにより期待します。今後も、駒場キャンパス内で行われている多様な研究を発信する場として、また広範な教育の場として機能するよう、環境を整えてゆく所存です。

(駒場博物館館長/広域システム科学/生物)

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