HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報612号(2019年10月 1日)

教養学部報

第612号 外部公開

<時に沿って> 101号館留学生相談室から

園田智子

sonodajpeg.jpg二〇一九年四月、前任の宮内由美子先生のご退職に伴い、留学生相談室勤務の講師として着任いたしました。近年、日本では留学生数の増加が著しいにもかかわらず、留学生を支援する専門人材は減少傾向にあります。そのような中、東京大学駒場キャンパスにおいては、一九八七年に留学生相談室を創設されて以来、常に留学生支援の重要性に目が向けられ、継続して支援が行われていることに感銘を受けました。この伝統を守り、また少しでも発展させていきたいと考えています。
私自身も仕事上様々な国へ参りましたが、最も長く深く関わったのはタイ王国です。タイの地方都市でタイの人々とともに働き、暮らす中で私自身が受けたカルチャーショックや価値観の大転換、文化交流や葛藤が、その後の私のキャリアを方向付けました。帰国後、お茶の水女子大学大学院で異文化間教育学を学び、さらに、群馬大学で教育、研究、留学支援、留学生相談を十年以上経験させていただき今に至ります。
そんな私の現在の仕事はといえば、四月の着任早々から学部前期の留学生の皆さんとの面談が始まり、様々なご相談と向き合う毎日です。正しい答えというものがないことが多く、それぞれの語りに耳を傾け、一緒に頭を抱え、様々な教職員の皆さんのお力を借りながら、その時々における最適解を必死に探る日々です。
最近よく「東京大学の留学生はどうですか?」と聞かれることがあります。四月入学の学部留学生や大学院生には外国人と思えないほど日本語が堪能な方もいます。非常に優秀な方も多いと思います。それでも、東京大学のシステムや学習、研究の方法に戸惑ったり、人間関係の形成や維持に難しさを感じたり、ビザや奨学金について問題を抱えるなど、留学生特有の支援を必要とする時があります。一方で、卒業後、各国各分野における活躍が期待される優秀な留学生は、東京大学にとって、また日本にとって非常に重要な未来の宝であるといえるでしょう。
留学生の皆さん、もし、何か困難を感じた時、相談できる場として留学生相談室をぜひ思い出してください。留学生の教育支援に関わる先生方、どうぞ気軽に、そして効率的に相談室をご利用ください。多様な文化に興味のある学生の皆さん、留学生に積極的に声をかけてください。彼らはあなたのすぐ隣にいます。
この駒場キャンパスがますます文化的多様性にあふれ、その化学反応により新たな知が生みだされていくことを信じ、私はその一つの支えとなっていければと願っています。

(超域文化科学/留学生相談室)

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