HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報613号(2019年11月 1日)

教養学部報

第613号 外部公開

高校生のための東京大学 オープンキャンパス2019

津田浩司

過去数年来、夏季休暇期間のはじめに本郷キャンパスで二日間にわたり行われている「高校生のための東京大学オープンキャンパス」であるが、今年も例年通りの日程で、八月七日(水)・八日(木)に開催された。「過去数年来」と記したが、より正確に言えば、本学が高校生等のためにオープンキャンパスを開催したのは、二〇〇〇年が最初であった。二〇〇三年からは、本郷に加え駒場でも開催されるようになり、以来両地区で一日ずつ二日間にわたり実施されてきた。しかし、東日本大震災後の電力事情を踏まえ、二〇一一年は十一月に本郷で一日の開催に縮小、翌年は再び八月に戻るも本郷での一日開催に留まり、現在のように本郷で二日間開催という姿に落ち着いたのは二〇一三年からのことである。
さて、今年の報告に移ろう。安田講堂では、本部企画の大学・学部説明会が行われ、教養学部について高橋哲哉副学部長が紹介した。その他の会場では各学部が、講演会や模擬講義、見学ツアー、進学相談会等の企画を実施した。
教養学部は、今年度は赤門そばの国際学術総合研究棟の一・二階を借り、模擬講義、学科・コース等の説明会、および進学相談を実施した。初日の午前には、太田邦史教養学部長と河野俊丈数理科学研究科長の挨拶のあと、森元庸介教養学科長、平岡秀一統合自然科学科長、横山ゆりか前学際科学科長が、後期課程の三学科を紹介した。午後には二つの模擬講義(池田昌司准教授「ガラスは固体か液体か?」、山本芳久准教授「哲学に触れる/感情に触れる─トマス・アクィナス『神学大全』を読みながら」)が開催された。午前・午後とも三百名収容の大教室がほぼ満員となった。初日はこれと並行して、上階教室でグローバリゼーションオフィス、国際研修、留学プログラム等の紹介(大澤麻里子講師ほか)、PEAK紹介(ブレガム・ダルグリーシュ准教授ほか)に続き、イザベル・ジロドゥ准教授による模擬講義"Law as if Earth Really Mattered: What if Ecocide Were a Punishable Crime?"が開催され、海外からも含め多数の来場者があった。
二日目は午前に二つ模擬講義(開一夫教授「認知科学と人工知能の挑戦─赤ちゃんから高校生まで」、八田秀雄教授「乳酸から考える運動の疲労と持久的トレーニング」)が、午後に二つの模擬講義(後藤春美教授「国際協力の始まり─イギリスと国際連盟を中心に、国際関係史の視点から」、小宮剛教授「初期地球進化解読─最古の生命の証拠」)が行われた。また今年度からの新たな試みとして、ALESS/ALESAプログラムの実演(大石和欣教授、ダイアナ・カルティカ特任講師、および現役学生)がなされた。この日午後の会場には空席が生じたが、それでも終了後に熱心に質問する高校生の姿が見られた。なお二日目には上階で、後期課程三学科の進学相談・質問コーナーが設けられ、相談に訪れた八〇名以上の高校生たちに対し教員・学生が丁寧に応対した。
教養学部企画への参加者は両日合わせてのべ二二〇〇名強と、昨年並みの盛況ぶりであった。初日の模擬講義の来場者に挙手してもらったところ、高一が半数以上、高二が三割程度であり、高三は数名であった。
高校生の関心に応えるべく先進的な内容を簡明に講義くださった先生方、説明会等にご協力いただいた教員・学生の皆様、そして数か月前から周到にご準備くださった本学部広報・情報企画係をはじめとする事務各部署の職員の皆様に、この場を借りてお礼申し上げます。

(超域文化科学/文化人類学)

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